TA化合物による心筋stunning改善効果とATP感受性K^+ チャネル

〔目的〕私達は北部会において新規ベンゾピラン誘導体, TA248およびTA276が抗酸化能, ラジカル捕捉能を有すること, またこれらの化合物が心筋stunningを改善することを報告してきた. 今回, TA化合物の2つの作用を結びつけるメカニズムとして, ATP感受性K^+ チャネルの関与について検討した. 〔方法〕麻酔開胸犬の左冠状動脈前下行枝(LAD)を結紮して心筋局所を20分間虚血にし, その後60分間再灌流した. 虚血10分前にTA248およびTA276(ともに3mg/kg)を, また薬物を投与する10分前にATP感受性K^+ チャネル遮断薬, glibenclamide(1mg/k...

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Hauptverfasser: 小杉哲郎, 佐藤久美, 金田繁, 山本敦子, 青木康夫, 高垣秀次, 市原和夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:〔目的〕私達は北部会において新規ベンゾピラン誘導体, TA248およびTA276が抗酸化能, ラジカル捕捉能を有すること, またこれらの化合物が心筋stunningを改善することを報告してきた. 今回, TA化合物の2つの作用を結びつけるメカニズムとして, ATP感受性K^+ チャネルの関与について検討した. 〔方法〕麻酔開胸犬の左冠状動脈前下行枝(LAD)を結紮して心筋局所を20分間虚血にし, その後60分間再灌流した. 虚血10分前にTA248およびTA276(ともに3mg/kg)を, また薬物を投与する10分前にATP感受性K^+ チャネル遮断薬, glibenclamide(1mg/kg)をいずれも左大腿静脈より単回投与した. 〔結果〕Glibenclamideの投与により心筋stunningは非投与群に比べて有意に悪化した. Glibenclamideの存在下, superoxide anion(・O_2 ^- )とhydroxyl radical(・H)を捕捉するTA276の心筋stunning改善効果は消失し, さらに悪化した. 一方・OHよりも・O_2 ^- を捕捉するTA248の心筋stunningの改善効果はglibenclamideにより消失したものの, glibenclamideによる悪化は認められなかった. Glibenclamideを投与したすべての群において虚血再灌流後に生じる冠血流量の一過性の上昇の減弱作用が認められた. 〔考察〕ラジカル捕捉剤であるTA化合物の心筋stunningの改善効果の発現には, ATP感受性K^+ チャネルの活性化が重要であることが示唆された. さらに, 細胞障害性が強いと考えられている・OHは, 生体において生理的濃度の範囲ではATP感受性K^+ チャネルを介して, 虚血心筋を保護するように働く可能性が示された.
ISSN:0015-5691