TNF-αの破骨細胞に対する骨吸収抑制効果

Tumor necrosis factor-α(TNF-α)は破骨細胞に対して, 骨吸収活性を促進させるサイトカインとして知られている. また, 近年同定されたRANKはTNF受容体とファミリーを形成する受容体であり, 本来のTNF-αの生理的役割を明らかにするには結合交差性を回避する濃度での検討が必要である. 我々はこの点に着目し, 生理的低濃度の条件での本サイトカインの効果について検討した. まず骨芽細胞様細胞と骨髄細胞を共培養に供し, 破骨細胞を誘導させた後, 低濃度のTNF-αの効果を検討した. その結果, 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性はTNF-α濃度依存的に亢進した....

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2000, Vol.116 (4), p.305-305
Hauptverfasser: 目黒徹, 藤田隆司, 中牟田弘道, Maria Morfis, Patrick M.Sexton, 小井田雅夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Tumor necrosis factor-α(TNF-α)は破骨細胞に対して, 骨吸収活性を促進させるサイトカインとして知られている. また, 近年同定されたRANKはTNF受容体とファミリーを形成する受容体であり, 本来のTNF-αの生理的役割を明らかにするには結合交差性を回避する濃度での検討が必要である. 我々はこの点に着目し, 生理的低濃度の条件での本サイトカインの効果について検討した. まず骨芽細胞様細胞と骨髄細胞を共培養に供し, 破骨細胞を誘導させた後, 低濃度のTNF-αの効果を検討した. その結果, 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性はTNF-α濃度依存的に亢進した. しかしながら, 骨吸収活性をpit形成として評価すると, 濃度依存的な抑制が見られた. 更に, 破骨細胞マーカであるカテプシンK活性は, TNF-αにより抑制された. また, PTH(1-34)を作用させるとTRAP活性の亢進とあわせ, 骨吸収活性は増大した. これらのことから, TNF-αは低濃度生理的条件下において, 破骨細胞前駆細胞および破骨細胞への分化を促進させるものの, 破骨細胞の活性化に対しては抑制的な効果を有することが示唆された.
ISSN:0015-5691