モルモット心房筋細胞のムスカリン感受性カリウム電流におよぼすピラルビシンの影響

ドキソルビシン(Dox)などのアントラサイクリン系抗腫瘍薬はその心臓毒性が問題となっている. 我々は, Doxが心臓においてムスカリン感受性カリウム電流(I_K.ACh )の抑制を介して抗コリン作用を誘起することを示した(第71回日本薬理学会年会). 今回, Dox類似薬ピラルビシン(Pir)のI_K.ACh におよぼす影響を検討し, Doxのそれと比較した. 〔方法〕モルモット単一心房筋細胞を用いてパッチクランプ法により全細胞型電流記録(保持電位-40mV)を行なった. 細胞外にカルバコール(CCh, 1μM)又はアデノシン(Ado, 10μM)を灌流, または細胞内に非水解性GTP誘導体の...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2000, Vol.115 (2), p.136-136
Hauptverfasser: 原幸男, 中郡昭人, 天間恭介, 近藤洪志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ドキソルビシン(Dox)などのアントラサイクリン系抗腫瘍薬はその心臓毒性が問題となっている. 我々は, Doxが心臓においてムスカリン感受性カリウム電流(I_K.ACh )の抑制を介して抗コリン作用を誘起することを示した(第71回日本薬理学会年会). 今回, Dox類似薬ピラルビシン(Pir)のI_K.ACh におよぼす影響を検討し, Doxのそれと比較した. 〔方法〕モルモット単一心房筋細胞を用いてパッチクランプ法により全細胞型電流記録(保持電位-40mV)を行なった. 細胞外にカルバコール(CCh, 1μM)又はアデノシン(Ado, 10μM)を灌流, または細胞内に非水解性GTP誘導体のGTPγS(100μM)を負荷してI_K.ACh を誘発し, これらにおよぼすDox, Pirの影響を観察した. 〔結果〕DoxはCCh誘発I_K.ACh を濃度依存的に抑制した(IC_50 値は7.6±2.0μM), のが, AdoあるいはGTPγS誘発I_K.ACh には影響しなかった. 一方Pirは, CCh, AdoあるいはGTPγS誘発I_K.ACh 何れをも濃度依存的に抑制した(IC_50 値は各々3.7±0.5μM, 6.0±0.9μM, 5.1±0.7μM). 〔結論〕PirはDoxと同様心臓において抗コリン作用を発現するが, 分子レベルの作用メカニズムを異にしている可能性がある. 即ち, Doxはムスカリン(M_2 )受容体レベルで作用するのに対し, Pirは受容体およびG蛋白質/KチャネルレベルでI_K.ACh を抑制していると考えられる.
ISSN:0015-5691