新規ベンゾピラン誘導体のラジカル捕捉能

〔目的〕私達は第48回北部会において, 抗酸化作用を有する新規ベンゾピラン誘導体, TA248およびTA276がラットで虚血再灌流性不整脈による死亡率を軽減し, また虚血再灌流後に生じる心筋収縮不全(スタニング)をイヌで改善することを報告した. 今回はこの改善効果がラジカル捕捉能によるものであることを確認するために, 代表的な活性酸素種であるsuperoxide anion(O_2 ^- )とhydroxyl radical(・OH)に対する本薬物の捕捉能を検討した. 〔方法〕Xanthine-xanthine oxidase系から発生させたO_2 ^- に対するTA248およびTA276の捕...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 2000, Vol.115 (2), p.136-136
Hauptverfasser: 小杉哲郎, 山本敦子, 星勝治, 高垣秀次, 青木康夫, 市原和夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕私達は第48回北部会において, 抗酸化作用を有する新規ベンゾピラン誘導体, TA248およびTA276がラットで虚血再灌流性不整脈による死亡率を軽減し, また虚血再灌流後に生じる心筋収縮不全(スタニング)をイヌで改善することを報告した. 今回はこの改善効果がラジカル捕捉能によるものであることを確認するために, 代表的な活性酸素種であるsuperoxide anion(O_2 ^- )とhydroxyl radical(・OH)に対する本薬物の捕捉能を検討した. 〔方法〕Xanthine-xanthine oxidase系から発生させたO_2 ^- に対するTA248およびTA276の捕捉能をウミホタル・ルシフェリン誘導体(CLA)による化学発光法を用いて検討した. また, Fenton反応によって発生させた・OHに対するTA化合物の捕捉能はスピントラップ剤にDMPOを用いたESR法によって検討した. 〔結果〕TA248およびTA276はいずれもCLAとO_2 ^- によって生じる化学発光強度を濃度依存的に抑制し, O_2 ^- との反応速度はそれぞれ3.07x10^3 , 5.83x10^3 (M^-1 sec^-1 )であった. 一方, ・OHに対する捕捉能には両化合物で違いが認められた. TA276は濃度依存的にDMPO-OHアダクトを減少させた. そのIC_50 は2.69mMで同様に測定したカタラーゼの約1/1000であった(2.07x10^-3 mM). TA248では二相性の反応を示し完全な抑制は認められなかった. 〔考察〕TA248およびTA276の構造はほぼ同じであるにも関わらず, 各ラジカルに対する捕捉能は異なっていた. 抗不整脈効果やスタニングの改善効果の一部には両化合物のラジカル捕捉能が関与していると思われ, 本結果から特にスタニングの改善効果にはO_2 ^ に対する捕捉能が重要であると考えられる. 一方, 抗不整脈効果については抗酸化活性以外の作用も関与していると思われる. 本実験の結果はスタニングや虚血再灌流性不整脈の発症原因となるラジカル種を特定する糸口となる可能性があると思われる.
ISSN:0015-5691