虚血後再灌流時のイヌ心筋収縮力に対するHMG-CoA還元酵素阻害薬 セリバスタチンの影響
ある種のHMG-CoA還元酵素阻害薬は, 心筋細胞内の酵素を阻害して種々の心筋細胞機能に影響をおよぼすことを報告してきた. 心筋収縮力は, 冠動脈閉塞によって虚血になった部位で低下し, 冠血管の再疎通によって回復するが, その, 回復は完全ではない(Stunning). 今回, 親油性の高いセリパスタチンの虚血後再灌流時のイヌ心筋収縮力に対する影響を検討した. 方法〕体重10kg前後のビーグル犬に, 40μg/kg/dayの用量でセリバスタチンを1日1回, 3週間連続経口投与した. ペントバルビタール(30mg/kg, i. v. )麻酔後, 左開胸し左冠動脈前下行枝を剥離, 絹糸を掛けた....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 2000, Vol.115 (2), p.133-133 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | ある種のHMG-CoA還元酵素阻害薬は, 心筋細胞内の酵素を阻害して種々の心筋細胞機能に影響をおよぼすことを報告してきた. 心筋収縮力は, 冠動脈閉塞によって虚血になった部位で低下し, 冠血管の再疎通によって回復するが, その, 回復は完全ではない(Stunning). 今回, 親油性の高いセリパスタチンの虚血後再灌流時のイヌ心筋収縮力に対する影響を検討した. 方法〕体重10kg前後のビーグル犬に, 40μg/kg/dayの用量でセリバスタチンを1日1回, 3週間連続経口投与した. ペントバルビタール(30mg/kg, i. v. )麻酔後, 左開胸し左冠動脈前下行枝を剥離, 絹糸を掛けた. この冠動脈支配領域の左室自由壁に心筋壁長測定用超音波クリスタルを装着した. 拡張期壁長-収縮期壁長/拡張期壁長画×100を心筋収縮力の指標とした. 絹糸を用い, 冠動脈を結紮して心筋を部分的に虚血にした. 結果〕薬物投与開始前と, 投与3週間後の血清総コレステロールは, セリバスタチン投与により有意に低下した. 虚血開始前および虚血の間の心筋収縮力は, 薬物非投与群とセリバスタチン投与群の間に差を認めなかった. 虚血15分後に冠動脈閉塞を解除すると, 低下していた心筋収縮力は虚血前値に向かって回復するが, 再灌流2時間後の回復率は薬物非投与群で約75%, セリバスタチン投与群で約50%であった. 再灌流2時間後の心筋ATP含量および心筋コエンザイムQ_10 含量は薬物非投与群と比較してセリバスタチン投与群で低値であった. 考察〕親油性セリバスタチンは, その細胞膜透過性のため, 心筋細胞内に入り, 心筋細胞内のHMG-CoA還元酵素を阻害して, 心筋コエンザイムQ_10 含量を低下し, ミトコンドリアのエネルギー産生系に影響して, 虚血再灌流時の心筋収縮力回復を遅らせるものと推察される. |
---|---|
ISSN: | 0015-5691 |