冠動脈硬化症の重症度と冠循環中のNOx変化
冠動脈狭窄を伴う狭心症患者において, 冠動脈硬化と血管内皮細胞の機能不全との関係が示唆されているが, その根拠は, 内皮細胞依存性血管拡張物質であるアセチルコリンや, NO合成酵素阻害薬であるL-N^G -monomethyl arginine等を用いた間接的なもので, NOの動態そのものを調べた報告はない. そこで我々は, 冠循環中のNO代謝産物レベルと冠動脈狭窄の重症度との関係を検討した. 対象は冠動脈疾患を疑われて冠動脈造影を行った患者75例で, 検査の際に左冠動脈入口部(LCA)および冠静脈洞(CS)から採血を行った. NO産生の指標としては血液中のNOx(NO_2 とNO_3 )をH...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 冠動脈狭窄を伴う狭心症患者において, 冠動脈硬化と血管内皮細胞の機能不全との関係が示唆されているが, その根拠は, 内皮細胞依存性血管拡張物質であるアセチルコリンや, NO合成酵素阻害薬であるL-N^G -monomethyl arginine等を用いた間接的なもので, NOの動態そのものを調べた報告はない. そこで我々は, 冠循環中のNO代謝産物レベルと冠動脈狭窄の重症度との関係を検討した. 対象は冠動脈疾患を疑われて冠動脈造影を行った患者75例で, 検査の際に左冠動脈入口部(LCA)および冠静脈洞(CS)から採血を行った. NO産生の指標としては血液中のNOx(NO_2 とNO_3 )をHPLC-Griess system(ENO-10, Eicom, Kyoto, Japan)にて測定した. また, 冠動脈造影所見をGensini Score(GS)によって点数化したものを冠動脈硬化重症度の指標とし, 正常群(GS=0, n=18), 軽度硬化群(GS=1-14, n=28), 重度硬化群(GS≧15, n=29)に分類した. LCA, CSにおけるNOxレベルは3群間に有意な差が認められなかったが, 重度硬化群の冠循環血液中のNOx変化率[(CS-LCA)x100/LCA]は, 他の2群に比べて有意に低下していた. GSと冠循環血液中のNOx変化率の間には有意な負の相関が認められ, 冠動脈硬化の重症度が高まるにつれてNOx変化率が低下していた. また, NOx変化率は, 冠危険因子(高血圧, 高コレステロール血症, 糖尿病, 喫煙歴)の有無によって影響を受けなかった. 以上の結果から, 冠循環中でのNOx変化率の減少は, 冠動脈硬化症の重症度と深く関係している事が明らかになり, 内皮細胞の機能低下をより直接的に示するものと考えられた. |
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ISSN: | 0015-5691 |