F-9細胞におけるSNF2β-BRG1分子の誘導的破壊
SNF-SWI複合体は, 転写因子が調節領域に結合する際のクロマチンのremodelingに関与するなど遺伝子の発現に重要な役割を果たしていることが推定されており, 酵母のSNF2-SWI2分子の哺乳類homologであるSNF2α-brmとSNF2β-BRG1は培養細胞でグルココルチコイド, エストロゲン, レチノイン酸(RA)による転写の活性を増強することが報告されている. 我々はマウス胚性腫瘍細胞F-9を用いて, この細胞がRAによって内胚葉様の細胞に分化する時のRAシグナルの伝達に対するSNF2β-BRG1分子の役割を検討した. マウスSNF2β-BRG1の完全長cDNAを単離し, H...
Gespeichert in:
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , |
---|---|
Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | SNF-SWI複合体は, 転写因子が調節領域に結合する際のクロマチンのremodelingに関与するなど遺伝子の発現に重要な役割を果たしていることが推定されており, 酵母のSNF2-SWI2分子の哺乳類homologであるSNF2α-brmとSNF2β-BRG1は培養細胞でグルココルチコイド, エストロゲン, レチノイン酸(RA)による転写の活性を増強することが報告されている. 我々はマウス胚性腫瘍細胞F-9を用いて, この細胞がRAによって内胚葉様の細胞に分化する時のRAシグナルの伝達に対するSNF2β-BRG1分子の役割を検討した. マウスSNF2β-BRG1の完全長cDNAを単離し, Helicase motifをコードする9個のエクソンを含む同分子の遺伝子DNAを単離した. この遺伝子に対し2個のエクソンをはさむイントロン中にloxPサイトと薬剤耐性遺伝子を挿入したtargeting vectorを作成してF-9細胞のSNF2β-BRG1遺伝子の2本のalleleを置換した. この細胞にはCre recombinaseにエストロゲン受容体のligand binding domainを結合させた融合蛋白を発現させるvectorをstableに導入してあり, エストロゲンの投与によってCre活性が誘導されるとエクソンが除去され, フレームシフト変異を生じて機能をもつ分子が産生されなくなる. この方法により2本のSNF2β-BRG1 alleleが共に破壊されたhomozygoteは生存し得ないこと, heterozygoteとなった細胞はRAに応答して分化するが, 増殖速度は著明に低下することが示された. 以上の結果からSNF2β-BRG1分子は核receptor-mediatedの転写調節に加えて, F-9細胞においては増殖に関与する基本的なプロセスに必須の役割を果たしていることが結論される. |
---|---|
ISSN: | 0015-5691 |