ラット肝虚血-再灌流障害の発症過程におけるアポトーシスの関与について

〔背景, 目的〕肝臓における虚血-再灌流障害は, 肝移植に代表される外科的手術の際に起こり問題となっている. これまで, 虚血-再灌流障害は, 典型的な壊死性の病変とされてきたが, 近年になってアポトーシスの関与も考えられている. 脳, 心臓の虚血-再灌流においては, アポトーシスの関与は数多く報告されているが, 肝臓についての報告は少ない. そこで今回我々は, ラット肝部分虚血-再灌流モデルを用いて虚血-再灌流時のアポトーシスの発生について, TUNEL染色法, DNA断片化の観察により検討し, その誘導機構について若干の検討を加えた. 〔実験方法〕実験には, 体重約300gのWistar系...

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Hauptverfasser: 松井敦聡, 稲泉恵一, 加納礼子, 福石信之, 赤木正明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔背景, 目的〕肝臓における虚血-再灌流障害は, 肝移植に代表される外科的手術の際に起こり問題となっている. これまで, 虚血-再灌流障害は, 典型的な壊死性の病変とされてきたが, 近年になってアポトーシスの関与も考えられている. 脳, 心臓の虚血-再灌流においては, アポトーシスの関与は数多く報告されているが, 肝臓についての報告は少ない. そこで今回我々は, ラット肝部分虚血-再灌流モデルを用いて虚血-再灌流時のアポトーシスの発生について, TUNEL染色法, DNA断片化の観察により検討し, その誘導機構について若干の検討を加えた. 〔実験方法〕実験には, 体重約300gのWistar系雄性ラットを用いた. 虚血モデルは, Urethane麻酔下で門脈の分岐の一方をクレンメで結紮して肝臓の約60%の部分を虚血状態とする肝部分虚血モデルを用いた. 虚血1時間後にクレンメをはずし, その後最大24時間の再灌流を行った. TUNEL染色はパラフィン包埋切片を用いて行った. DNA断片化は, アガロースゲル電気泳動法によって評価した. 〔結果, 考察〕虚血1時間後の再灌流1, 3, 6時間後にTUNEL陽性細胞の出現, DNA ladderの発現により, アポトーシスが観察された, 又, 虚血のみを延長したモデルにおいても虚血3, 6時間後においてアポトーシスが観察されたことから, 虚血-再灌流後に観察されたアポトーシスは, 虚血1時間の間に誘導されたものであり, それが数時間を経て結果として再灌流後に現れたと考えられた. その誘導機構については不明であるが, キサンチン-キサンチンオキシダーゼ系由来の活性酸素が何らかの役割を持っていることが考えられる.
ISSN:0015-5691