NOによるP450阻害とその病態生化学的意義

1960年の前半, チトクロームP450(P450)が一酸化窒素(NO)と結合することがすでに知られており, 磁気共鳴装置(ESR)を使った研究が多く報告された. しかし, NOが結合したP450が薬物代謝にどの様な影響をおよぼすかは不明であった. その約20年後, NOが血管弛緩作用や血小板抑制作用などの重要な働きを有するガス状ラジカルとして発見された(1). さらに, NO合成酵素(NOS)とP450の相同性が高いことから, 当初はNOSがP450の1分子種と考えられていた. 近年, このNOとP450の反応が再び注目され, その生理学的意義が詳しく研究されつつある. 本稿では, これに関...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1998-07, Vol.112 (1), p.33-42
Hauptverfasser: 南山幸子, 竹村茂一, 今岡進, 舩江良彦, 井上正康
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:1960年の前半, チトクロームP450(P450)が一酸化窒素(NO)と結合することがすでに知られており, 磁気共鳴装置(ESR)を使った研究が多く報告された. しかし, NOが結合したP450が薬物代謝にどの様な影響をおよぼすかは不明であった. その約20年後, NOが血管弛緩作用や血小板抑制作用などの重要な働きを有するガス状ラジカルとして発見された(1). さらに, NO合成酵素(NOS)とP450の相同性が高いことから, 当初はNOSがP450の1分子種と考えられていた. 近年, このNOとP450の反応が再び注目され, その生理学的意義が詳しく研究されつつある. 本稿では, これに関する筆者らの研究結果を中心に述べる. P450とNOの反応 上記のごとく, NOは種々の物質と反応する. その代表的なものとしてヘム, 鉄, スーパーオキサイド, チオールおよび酸素などがある(2~4).
ISSN:0015-5691