新しい胃潰瘍モデルの作製と薬効評価

虚血, およびそれに引き続く再灌流による傷害が種々の臓器で認められるが, 胃粘膜においても, ストレスその他の原因による虚血-再灌流が病変の形成に関与することが報告されている(1-3). この虚血-再灌流という手法を用いて, 簡便で再現性がよく, かつ薬効評価に役立つ胃潰瘍モデルを作製することを試みた. 従来, 潰瘍治療薬などの評価には, 酢酸潰瘍モデルが広く用いられていた(4). この方法は, 粘膜筋板の傷害を伴うもので, 潰瘍の治癒過程における薬効の評価などに非常に有用なものである. しかしながら, その作製のためには漿膜側より酢酸を注入する必要があり, さらにはその治癒までに何十日もの日...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1998/05/01, Vol.111(5), pp.303-308
Hauptverfasser: 和田, 孝一郎, 上崎, 善規
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:虚血, およびそれに引き続く再灌流による傷害が種々の臓器で認められるが, 胃粘膜においても, ストレスその他の原因による虚血-再灌流が病変の形成に関与することが報告されている(1-3). この虚血-再灌流という手法を用いて, 簡便で再現性がよく, かつ薬効評価に役立つ胃潰瘍モデルを作製することを試みた. 従来, 潰瘍治療薬などの評価には, 酢酸潰瘍モデルが広く用いられていた(4). この方法は, 粘膜筋板の傷害を伴うもので, 潰瘍の治癒過程における薬効の評価などに非常に有用なものである. しかしながら, その作製のためには漿膜側より酢酸を注入する必要があり, さらにはその治癒までに何十日もの日数を要するという難点がある. その他のモデルは, 粘膜筋板の傷害が見られないものが多く, 病理学的な点から見て, 胃潰瘍モデルというよりは, 胃粘膜病変モデルの範疇にはいるものであると考えられる(5, 6).
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.111.303