培養線条体細胞条件培地および牛胎仔血清のグルタミン酸神経毒性に対する保護作用

培養線条体細胞はグルタミン酸神経毒性に対して抵抗性を持ち, 培養大脳皮質細胞におけるグルタミン酸神経毒性は線条体細胞の混在により減弱する. そこで, グルタミン酸存在下に線条体細胞を培養することにより得られる条件培地(CM)の培養大脳皮質細胞におけるグルタミン酸神経毒性に対する作用を検討した. さらに, CMに添加されている牛胎仔血清(FCS)のグルタミン酸神経毒性に対する作用を検討した. 胎生17-19日齢のラット胎仔より得た大脳皮質細胞を11-12日間培養して実験に用い心細胞の生存率はトリパンブルー除去法により調べた. 実験はすべて37℃のEagle液中で行った. 培養大脳皮質細胞をグルタ...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.110 (4), p.87-87
Hauptverfasser: 久米利明, 河内山華江, 西川弘之, 前田武彦, 金子周司, 赤池昭紀, 野田直規, 藤多哲朗
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:培養線条体細胞はグルタミン酸神経毒性に対して抵抗性を持ち, 培養大脳皮質細胞におけるグルタミン酸神経毒性は線条体細胞の混在により減弱する. そこで, グルタミン酸存在下に線条体細胞を培養することにより得られる条件培地(CM)の培養大脳皮質細胞におけるグルタミン酸神経毒性に対する作用を検討した. さらに, CMに添加されている牛胎仔血清(FCS)のグルタミン酸神経毒性に対する作用を検討した. 胎生17-19日齢のラット胎仔より得た大脳皮質細胞を11-12日間培養して実験に用い心細胞の生存率はトリパンブルー除去法により調べた. 実験はすべて37℃のEagle液中で行った. 培養大脳皮質細胞をグルタミン酸(500μM)を含むEagle液中で60分間インキュベートすることにより神経細胞死が誘発された. NOドナーのS-nitrosocysteine(100μM)の60分間の投与によってもグルタミン酸と同様の神経細胞死が誘発された. グルタミン酸神経毒性はMK-801(1μM)のグルタミン酸との同時投与により抑制された. 凍結乾燥し, 約6倍に濃縮したCMをグルタミン酸と同時投与することにより培養大脳皮質細胞のグルタミン酸神経毒性は有意に抑制された. CM(6ml)を同量のエーテルで抽出し, 乾燥後, 少量のエーテルで溶解したものをグルタミン酸と同時投与した. このような方法で投与したCMのエーテル抽出物はグルタミン酸神経毒性を著明に抑制した. 次いで, CMには10%のFCSが含まれているので, CMと同様の方法で調整したFCSのエーテル抽出物をグルタミン酸と同時投与したところ, 投与量(FCSとして1ml, 10ml)に依存してグルタミン酸神経毒性は抑制された. さらにFCSのエーテル抽出物はSNOC誘発神経毒性も抑制した. 以上の結果よりCMの神経保護作用の少なくとも一部は, FCSのエーテル抽出物に含まれる疎水性化合物に由来すること, 更に, その主要成分はNOを介するグルタミン酸神経毒性を抑制することが示された.
ISSN:0015-5691