新規に合成されたNC-1800は中枢に作用して膀胱収縮を抑制する
膀胱の運動機能は中枢神経支配を高度に受けており, 中枢からの神経支配がなくなってもある程度機能を保持する心臓や胃腸管など多くの内臓器官とは異なっている. 我々は, 中枢に選択的に作用し膀胱の収縮機能を抑制するアルキレンジアミン誘導体NC-1800[(5RS,1SR)-5-Benzyl-3-(3-morpholino-1-phenylpropyl)-1,3-oxazolidin-2-one monofumarate]を見いだしたのでその薬理学的性質を報告する. [方法]麻酔ラット及び麻酔犬を用いて律動的膀胱収縮ならびにシストメトリーにて作用を調べた. また, 犬の骨盤神経を上行性あるいは下行性に...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 膀胱の運動機能は中枢神経支配を高度に受けており, 中枢からの神経支配がなくなってもある程度機能を保持する心臓や胃腸管など多くの内臓器官とは異なっている. 我々は, 中枢に選択的に作用し膀胱の収縮機能を抑制するアルキレンジアミン誘導体NC-1800[(5RS,1SR)-5-Benzyl-3-(3-morpholino-1-phenylpropyl)-1,3-oxazolidin-2-one monofumarate]を見いだしたのでその薬理学的性質を報告する. [方法]麻酔ラット及び麻酔犬を用いて律動的膀胱収縮ならびにシストメトリーにて作用を調べた. また, 犬の骨盤神経を上行性あるいは下行性に電気刺激し誘発した膀胱収縮に対する作用の違いを調べた. さらに, 中枢での作用を新生児ラット脊髄標本, 末梢での作用を摘出膀胱平滑筋標本を用いて調べた. [結果]静脈内および十二指腸内投与により, NC-1800は律動的膀胱収縮を用量依存的に抑制した. また, シストメトリーにおいても, 膀胱容量の増大, 排尿閾値圧の上昇を示した. NC-1800は, 骨盤神経を下行性に刺激するよりも上行性に刺激して誘発した膀胱収縮に対して選択的に強い抑制作用を示した. 脊髄の単および多シナプス反射にほとんど影響を与えなかった. また, 摘出膀胱平滑筋の種々の刺激薬による収縮に対しほとんど影響を与えなかった. [結論]NC-1800は, 末梢の膀胱への直接作用はほとんどなく, 脊髄より上位の中枢神経系を介する排尿反射に選択的に作用して, 膀胱収縮を抑制していることが示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |