平滑筋ミオシン線維を安定化するニワトリ砂嚢38kDa蛋白質の性質
平滑筋内のミオシンを主とする太い線維の構成成分については今まで十分な解析がなされていない. 試験管内では非リン酸化ミオシンは不安定で容易に脱重合するので, 何らかの安定化因子が存在することが示唆される. すでにある種の平滑筋に存在する可溶性蛋白質テロキンがミオシンを安定化することが報告されている. 我々はニワトリ砂嚢の粗ミオシン画分を出発点としてミオシン線維を安定化する因子を追跡し分子量38kDaの蛋白質を精製した. 生理的溶液条件下では非リン酸化ミオシンは重合しなかったが, 38k蛋白質をミオシンに対しモル比で0.1以上加えると, 非リン酸化ミオシンの線維が形成されることが電子顕微鏡によって...
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Zusammenfassung: | 平滑筋内のミオシンを主とする太い線維の構成成分については今まで十分な解析がなされていない. 試験管内では非リン酸化ミオシンは不安定で容易に脱重合するので, 何らかの安定化因子が存在することが示唆される. すでにある種の平滑筋に存在する可溶性蛋白質テロキンがミオシンを安定化することが報告されている. 我々はニワトリ砂嚢の粗ミオシン画分を出発点としてミオシン線維を安定化する因子を追跡し分子量38kDaの蛋白質を精製した. 生理的溶液条件下では非リン酸化ミオシンは重合しなかったが, 38k蛋白質をミオシンに対しモル比で0.1以上加えると, 非リン酸化ミオシンの線維が形成されることが電子顕微鏡によって観察された. ミオシン線維形成を遠心法で定量すると, 加える38kの濃度の上昇に従ってミオシン重合も促進された. 38kをミオシンに対しモル比で4倍程度まで加えるとミオシンの重合促進及びミオシンと38kとの続合は飽和し, リン酸化ミオシンの重合の場合と同程度まで重合を促進した. 38kはリン酸化ミオシンとも非リン酸化ミオシンの場合と同程度結合した. 従って38kは収縮・弛緩にともなう平滑筋細胞内ミオシンのリン酸化状態に依存せず常にミオシン線維と結合してその安定化に寄与していると考えられる. 38kの部分アミノ酸配列は, 明確な機能がわかっていないヒトp32蛋白質のアミノ酸配列と極めて高い相同性があった. そこでp32のcDNAをpETプラスミドに挿入し大腸菌で発現し, 産物を精製した. 精製したp32は電気泳動上38kとほぼ同じ移動度を示し, 非リン酸化ミオシンの重合を促進した. さらにこのp32を抗原とするポリクローナル抗体は38kと交叉した. これらより38kはニワトリp32であると判断した. この蛋白質がどのような機構でミオシン線維を安定化しているのかを解析中である. |
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ISSN: | 0015-5691 |