db/dbマウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用に及ぼす血漿グルコースの影響

【目的】I型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスにおけるμ受容体作動薬誘発抗侵害作用の減弱には, 血漿グルコースが関与しないことを報告している. 一方, II型糖尿病モデルであるC57BL/KsJ-db/db(db/db)マウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用の変化ついては明らかにされていない. そこで本研究では, db/dbマウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用およびそれに及ぼす血漿グルコースの影響について検討した. 【方法】実験には, db/dbマウス, C57BL/KsJ-db/++マウスおよびICR系マウスを用いた. ICR系マウスにSTZを投与し, 2週間経過し...

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Hauptverfasser: 袖山みどり, 木村真理, 田中俊一, 亀井淳三
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】I型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病マウスにおけるμ受容体作動薬誘発抗侵害作用の減弱には, 血漿グルコースが関与しないことを報告している. 一方, II型糖尿病モデルであるC57BL/KsJ-db/db(db/db)マウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用の変化ついては明らかにされていない. そこで本研究では, db/dbマウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用およびそれに及ぼす血漿グルコースの影響について検討した. 【方法】実験には, db/dbマウス, C57BL/KsJ-db/++マウスおよびICR系マウスを用いた. ICR系マウスにSTZを投与し, 2週間経過した動物をSTZ誘発糖尿病マウスとした. 抗侵害作用の測定はfail-flick法により行った. また, db/dbマウスにはインスリン抵抗性改善薬であるCS045を, 混餌することにより3日間経口摂取させた. なお, 血糖値が400mg/dl以上のものを糖尿病とした. 【結果】db/dbマウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用はdb/++マウスに比べ有意に減弱していた. しかし, CS045処置によりdb/dbマウスの血糖値を低下させると, モルヒネ誘発抗侵害作用は, db/++マウスと同程度にまで回復した. 一方, STZ誘発糖尿病マウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用は, 対照群マウスに比べ有意に減弱していたが, インスリン投与によりSTZ誘発糖尿病マウスの血糖値を低下させても, モルヒネ誘発抗侵害作用の減弱は改善されなかった. 【考察】以上のことから, STZ誘発糖尿病マウス, すなわちI型糖尿病マウスにおけるモルヒネ誘発抗侵害作用の減弱には, 血漿グルコースではなく, インスリンの絶対的な不足等の何らかの因子が影響を及ぼしていることが示唆された. また, db/dbマウスのようなインスリン抵抗性が生じている状態においては, 血漿グルコース濃度の上昇がモルヒネ誘発抗侵害作用の減弱に影響を及ぼしていることが示唆された.
ISSN:0015-5691