Fos蛋白を指標としたsulpirideとhaloperidolの脳内作用部位の比較検討

種々の抗精神病薬においてその作用に違いがみられるのは周知のことであるが, 脳内における詳細な作用部位は未だ完全に明らかにされているとはいえない. 今回, ラットにsulpiride 100mg/kg,ip, haloperidol 1mg/kg,ip投与後, 神経活動のマーカーである脳内Fos蛋白の発現を免疫組織化学的方法によって調べることにより両薬物の脳内作用部位の比較検討を行った. sulpiride 100mg投与2時間後には側坐核shell, 外側中隔核に多数のFos陽性ニューロンが出現した. 線条体には内側領域にFos陽性ニューロンが多数認められたが, 外側領域では散在性にしか認めら...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (2), p.1068-1068
Hauptverfasser: 濱田直之, 吉田眞美, 富田克, 畠山淳子, 田中隆彦, 田中正敏
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:種々の抗精神病薬においてその作用に違いがみられるのは周知のことであるが, 脳内における詳細な作用部位は未だ完全に明らかにされているとはいえない. 今回, ラットにsulpiride 100mg/kg,ip, haloperidol 1mg/kg,ip投与後, 神経活動のマーカーである脳内Fos蛋白の発現を免疫組織化学的方法によって調べることにより両薬物の脳内作用部位の比較検討を行った. sulpiride 100mg投与2時間後には側坐核shell, 外側中隔核に多数のFos陽性ニューロンが出現した. 線条体には内側領域にFos陽性ニューロンが多数認められたが, 外側領域では散在性にしか認められなかった. 視床下部では傍室核, 視索上核及び第3脳室周囲領域に多数のFos陽性ニューロンがみられた. これに対し, haloperidol 1mg投与2時間後には, 線条体, 側坐核に同程度の多数のFos陽性ニューロンが出現した. 今回の所見から, sulpirideは視床下部への作用が強力であり, 叉, 前脳では中脳辺縁ドーパミン神経系の終末野にFos蛋白発現がみられた. これに対しhaloperidolでは中脳辺縁ドーパミン神経系及び黒質線条体ドーパミン神経系の両方の終末野にFos蛋白発現がみられており, 今回の所見は両薬物の脳内作用部位の差を示唆しているものと考えられた.
ISSN:0015-5691