抗うつ剤のGABAトランスポーターサブタイプに対する影響

抗うつ剤がノルアドレナリン(NA)やセロトニン(5-HT)等のモノアミンの取り込みを抑制することは周知であるが, 薬剤の作用機序については不明な点も多い. また抑制性神経伝達物質であるGABAの作用を強める薬剤の中に抗うつ作用も認め得たことから, うつの病態にGABA神経系も関与しうると考えられている. 今回我々はGABAトランスポーター(GAT)のサブタイプ(GAT1, 2, 3)とセロトニントランスポーター(SET)を発現させたCOS-7細胞を用いて各種抗うつ剤の取り込みに対する影響を検討した. 11種類の抗うつ剤の内, 7種類はSETに対して明かに高い親和性を示したが, 残り4種類はSE...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (2), p.1059-1059
Hauptverfasser: 仲下まゆみ, 佐々木桂子, 松山千秋, 住岡清司, 森川修, 酒井規雄, 斎藤尚亮
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:抗うつ剤がノルアドレナリン(NA)やセロトニン(5-HT)等のモノアミンの取り込みを抑制することは周知であるが, 薬剤の作用機序については不明な点も多い. また抑制性神経伝達物質であるGABAの作用を強める薬剤の中に抗うつ作用も認め得たことから, うつの病態にGABA神経系も関与しうると考えられている. 今回我々はGABAトランスポーター(GAT)のサブタイプ(GAT1, 2, 3)とセロトニントランスポーター(SET)を発現させたCOS-7細胞を用いて各種抗うつ剤の取り込みに対する影響を検討した. 11種類の抗うつ剤の内, 7種類はSETに対して明かに高い親和性を示したが, 残り4種類はSETに対するIC_50 とGATに対するIC_50 との間に大きな差は認められなかった. この4種類の薬剤(desipramine, nortriptyline, amitriptyline, maprotiline)はGATの各サブタイプに関して主にGAT1とGAT3に作用していた. GAT2が抗うつ剤の作用をあまり受けなかったという結果は, GAT1, GAT3はGABAシナプスに, GAT2はシナプス以外の部位に存在するという事実に矛盾しない. さらに, GATを抑制した4種類の薬剤のうちamitriptylineはRichelsonらによれば, 5-HTとNAに対するIC_50 に大差がないと報告されており, 臨床でもたらされる抗うつ作用にGABA取り込みが関与している可能性が強い.
ISSN:0015-5691