ラット耳下腺腺房細胞からのアミラーゼ分泌におけるPLA_2 の役割
我々は以前, ラット耳下腺から得た, 細胞膜と分泌顆粒を用いたin vitroのモデル実験において, Phospholipase A_2 (PLA_2 )で処理した膜が顆粒と融合し, アミラーゼ遊離を起こすことを報告した. 今回, コラゲナーゼ処理で分離した腺房細胞を用いてさらにアミラーゼ分泌を検討した. 【方法】雄性Wistar-STラット(8週齢)から耳下腺を摘出し, コラゲナーゼ処理により腺房細胞を得た. 一部の実験では細胞をβ-escin処理をして膜透過性とした. 【結果】分離した腺房細胞において(1)Isoproterenol(IPR)は, 濃度, 時間依存的にアミラーゼを遊離させた...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (2), p.1054-1054 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 我々は以前, ラット耳下腺から得た, 細胞膜と分泌顆粒を用いたin vitroのモデル実験において, Phospholipase A_2 (PLA_2 )で処理した膜が顆粒と融合し, アミラーゼ遊離を起こすことを報告した. 今回, コラゲナーゼ処理で分離した腺房細胞を用いてさらにアミラーゼ分泌を検討した. 【方法】雄性Wistar-STラット(8週齢)から耳下腺を摘出し, コラゲナーゼ処理により腺房細胞を得た. 一部の実験では細胞をβ-escin処理をして膜透過性とした. 【結果】分離した腺房細胞において(1)Isoproterenol(IPR)は, 濃度, 時間依存的にアミラーゼを遊離させた. この遊離は外液のCa^2+ を除くと著しく抑制された. (2)PLA_2 阻害薬のAACOCF_3 とONO-RS-082は自発性遊離には影響しなかったが, IPRによる遊離を著しく抑制した. この抑制はアラキドン酸添加により回復した. (3)アラキドン酸は濃度依存的にアミラーゼを遊離させた. また, IPRによる遊離をさらに増加させた. (4)カルモデュリン阻害薬のW-7, ミオシン軽鎖キナーゼ阻害薬のML-9はIPRによる遊離を, PI-3キナーゼ阻害薬のWortmanninは, IPR, アラキドン酸による遊離を抑制した. β-escinで膜透過性にした腺房細胞において(1)Ca^2+ イオンは濃度依存的にアミラーゼ遊離を促進した. (2)Ca^2+ 依存性の遊離は, AACOCF_3 により抑制された. (3)アラキドン酸はCa^2+ 非依存性の遊離を生じた. (4)Ca^2+ 非存在下のアラキドン酸による遊離はWortmanninにより抑制された. 【考察】ラット耳下腺腺房細胞からのアミラーゼ遊離には, Ca^2+ 存在下に活性化されるPLA_2 と膜から切り出されたアラキドン酸が重要であり, アラキドン酸はPI-3キナーゼを介して開口分泌に役割を担っている. カルモデュリン-ミオシン軽鎖キナーゼはアラキドン酸以前の機構に関与していることが示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |