Asebotoxin-III誘起中枢性肺出血でのNOS/NOの関与

アセビ葉毒ATX-III数μgの側脳室投与で起こる激烈な出血性肺水腫(NPHE)の成立機序のうち, 肺循環異変と関係する肺のNOS/NOとNPHEの関係につき, 薬理学的ならぴに免疫組織化学的に検討した. 【実験方法】 ラットをpentobarbital(25mg/kg, i.p.)麻酔しATX-III 8μg i.c.にてNPHEを誘起させた. L-NAME, D-NAME(各 3mg/kg, i.v.)前処置, L-arginine(400mg/kg, i.v.)併用投与などの条件下に血圧, 皮質脳波, 剖検後の心/肺, 重量比, 電顕での血管内皮質の変化, NOSの免疫組織化学的検索を行...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (2), p.1047-1047
Hauptverfasser: 竹谷和視, 前川寛, 堀田芳弘, 天野光人, 木村勝, 川井範夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アセビ葉毒ATX-III数μgの側脳室投与で起こる激烈な出血性肺水腫(NPHE)の成立機序のうち, 肺循環異変と関係する肺のNOS/NOとNPHEの関係につき, 薬理学的ならぴに免疫組織化学的に検討した. 【実験方法】 ラットをpentobarbital(25mg/kg, i.p.)麻酔しATX-III 8μg i.c.にてNPHEを誘起させた. L-NAME, D-NAME(各 3mg/kg, i.v.)前処置, L-arginine(400mg/kg, i.v.)併用投与などの条件下に血圧, 皮質脳波, 剖検後の心/肺, 重量比, 電顕での血管内皮質の変化, NOSの免疫組織化学的検索を行った. 【実験結果】 1. ATX-induced NPHEはL-NAME前処置によって抑制され, ATX-IIIによる血圧上昇はやや軽度で, 死亡時間は1.5倍延長し, L-NAME無処置の心肺比2.95に対し, 処置群では1.56で正常の心肺比と差はなかった. 2. D-NAME処置ではごく僅かなNPHE発症抑制傾向が認められたが, 血圧, 脳波所見, 心肺比(2.41)は対象と有意な差はなかった. 3. L-NAMEのATX-induced NPHEの抑制作用はL-arginine(400mg/kg, i.v.,20 min before/after L-NAME)で消失した. 4. 電顕所見では, 肺毛細血管の著明な拡大が内膜の膨化, 空胞形成を伴って観察され, 血管内皮細胞の障害を推定させた. 5. NOS抗体による免疫染色で肺胞中隔の血管内皮, 気管支枝粘膜にNOSの存在が確認され, ATX-III処置により, 肺胞に満ちた無構造の滲出液中にeNOS抗体だけに染まる部分が観察された. これは, 電顕所見と勘案して内皮細胞由来の逸脱酵素断片である可能性がある. 【結論】ATX-III誘起出血性肺水腫発症には肺循環系eNOS/NOの関与がある.
ISSN:0015-5691