イヌ脳底動脈に対するLevcromakalimの作用とその機序

K^+ channel 開口薬(KCO)が種々の臓器血管に対して, 強力な拡張作用を有することが注目されている. 我々はくも膜下出血後の脳血管攣縮に対する臨床応用を目的に, KCOの一種であるLevcromakalim(Lev)のイヌ脳底動脈に対する作用を検討した. 正常犬及びdouble-hemorrhage model犬(day7)の脳底動脈リング標本に蛍光Ca指示薬であるFura-2を細胞内に取り込ませた後, 蛍光顕微鏡上に装着し, 細胞内Ca^2+ 濃度([Ca^2+ ]i)と張力変化とを同時測定した. 正常群, double-hemorrhage model群においてLevはrest...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (1), p.80-80
Hauptverfasser: 柳澤輝行, 須貝和幸, 本橋蔵, 吉本高志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:K^+ channel 開口薬(KCO)が種々の臓器血管に対して, 強力な拡張作用を有することが注目されている. 我々はくも膜下出血後の脳血管攣縮に対する臨床応用を目的に, KCOの一種であるLevcromakalim(Lev)のイヌ脳底動脈に対する作用を検討した. 正常犬及びdouble-hemorrhage model犬(day7)の脳底動脈リング標本に蛍光Ca指示薬であるFura-2を細胞内に取り込ませた後, 蛍光顕微鏡上に装着し, 細胞内Ca^2+ 濃度([Ca^2+ ]i)と張力変化とを同時測定した. 正常群, double-hemorrhage model群においてLevはrested stateの標本の[Ca^2+ ]i及び張力を低下させた. 両群でLevは用量依存性にserotoninの[Ca^2+ ]i増大効果及び収縮反応を抑制した. 正常群でserotoninに対する抑制効果はtetraethylammoniumあるいはiberiotoxin存在下では認められたものの, glibenclamide存在下では完全消失した. 一方, Ca^2+ -activated K^+ channel(KCa)が抑制されると, serotoninの[Ca^2+ ]i増加・収縮作用は若干増強した. [Ca^2+]oを増加して[Ca^2+ ]iと張力の関係を検討すると, LEV存在下では有意に張力が抑制されていた. 脳底動脈血管平滑筋細胞にもKATP が存在し, Levはこのchannelを介して作用する. 正常群, double-hemorrhage model群共にLevによりKATPを開くと, KCaの関与の有無に関わらずserotonin収縮は抑制される. 上記の効果は[Ca^2+ ]i増大の抑制に加え, 収縮蛋白系のCa感受性低下によるものと考えられた. 以上よりLevはくも膜下出血後の血管攣縮治療薬としての期待が持たれる.
ISSN:0015-5691