ニトログリセリンの血管収縮抑制作用とイノシトール燐酸蓄積

血管のアゴニスト収縮に於けるIP_3 産生の増加の重要性は良く知られている. 一方, ニトログリセリンを始めとするcyclic GMP(cGMP)増加薬が血管収縮を抑制する機序の一つに, cGMPがcGMP依存性プロテインカイネース(cGMP-kinase)を介してIP_3 産生を抑制すると云う可能性が示唆されてい, 今回, 我々はニトログリセリンが果してアゴニストによるIP_3 産生を抑制するか, そして, その際に, cGMP-kinaseの拮抗薬であるRp-8-Br-cGMPSによってIP_3 産生が修飾されるか否かを機能と共に検討した. ラット大動脈リング標本をニトログリセリンで前処理...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (1), p.79-79
Hauptverfasser: 石橋隆治, 豊里晃, 今井昭一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:血管のアゴニスト収縮に於けるIP_3 産生の増加の重要性は良く知られている. 一方, ニトログリセリンを始めとするcyclic GMP(cGMP)増加薬が血管収縮を抑制する機序の一つに, cGMPがcGMP依存性プロテインカイネース(cGMP-kinase)を介してIP_3 産生を抑制すると云う可能性が示唆されてい, 今回, 我々はニトログリセリンが果してアゴニストによるIP_3 産生を抑制するか, そして, その際に, cGMP-kinaseの拮抗薬であるRp-8-Br-cGMPSによってIP_3 産生が修飾されるか否かを機能と共に検討した. ラット大動脈リング標本をニトログリセリンで前処理しておくと, フェニレフリンによる収縮は抑制され, Rp-8-Br-cGMPS はニトログリセリンによる収縮の抑制を減弱させた. 同じ条件でイノシトールリン酸(IP)の蓄積を測定したところ, フェニレフリンによって増加するIPはニトログリセリン前処理によっても明確な低下を示さなかった. さらに, このIPの蓄積はRp-8-Br-cGMPSが存在しても有意な変化を示さなかった. 同様の現象はニトロプルシドでも観察された. また, IPの増加がより明確な尾動脈でも同様であった. 以上の結果はラット尾動脈を用いた最近の報告(Lum Min & Tabrizchi, Br. J. Pharmacol, 116:1697-1703, 1995)と一致しており, cGMPの増加がIP_3 の産生を抑制して収縮を減弱させると云う仮説に疑問を投げかけるものである.
ISSN:0015-5691