PC12細胞におけるアデニル酸シクラーゼに連関したATP受容体の存在

PC12細胞にはP_2 型ATP受容体が存在し, その受容体刺激か細胞外からのCa^2+ 流入を促進し, ノルアドレナリン(NA)放出を引き起こすことが知られている. 私達はこの受容体の性質が, PC12細胞から最近クローニングされたP_2x 受容体の性質とよく類似していることを既に報告している. さらに私達はPC12細胞をATPで刺激すると, 100μMまでの低濃度ではcAMP生成を促進し, それ以上の高濃度では逆にcAMP生成を抑制することを見いだした. 今回, 低濃度でのATP刺激によるcAMP生成が, 従来報告されていない新規ATP受容体を介していることを示唆する知見を得たので報告する...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (1), p.74-74
Hauptverfasser: 村山俊彦, 薬師義弘, 渡辺あさ子, 野村靖幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:PC12細胞にはP_2 型ATP受容体が存在し, その受容体刺激か細胞外からのCa^2+ 流入を促進し, ノルアドレナリン(NA)放出を引き起こすことが知られている. 私達はこの受容体の性質が, PC12細胞から最近クローニングされたP_2x 受容体の性質とよく類似していることを既に報告している. さらに私達はPC12細胞をATPで刺激すると, 100μMまでの低濃度ではcAMP生成を促進し, それ以上の高濃度では逆にcAMP生成を抑制することを見いだした. 今回, 低濃度でのATP刺激によるcAMP生成が, 従来報告されていない新規ATP受容体を介していることを示唆する知見を得たので報告する. 1)ATPやATPγSは細胞外CaCl_2 の有無に関わらず, 低濃度側でcAMP生成を促進させた. またこの作用はカルモジュリン阻害薬W-7やトリフルオペラジンによって修飾されなかった. 2)βγメチレンATPやADPβSは用量に依存してcAMP生成を促進させた. この二つの化合物は高濃度を用いてもcAMP抑制作用は見られなかった. 3)βγメチレンATPやADPβSは, ATPやATPγSとは異なり, 細胞内Ca^2+ 濃度を上昇させなかった. 4)PC12細胞ではアデノシンがA_2 受容体を介してcAMP生成を促進させたが, アデノシンを分解するアデノシンデアミナーゼを共存させアデノシン作用を消失させた場合にも, βγメチレンATPやADPβSはcAMP生成を促進させた. 5)ATPによるCa^2+ 流入やNA放出を阻害するスラミン(P_2 アンタゴニスト)は, ATP誘導体によるcAMP生成促進作用を阻害しなかった. Reactive blue2はβγメチレンATPによるcAMP生成を阻害したが, ADPβS作用には無効であった. これらの知見は, 1)cAMP生成に促進的に連関しているATP受容体はこれまでに知られているCa^2+ 流入やNA放出に連関しているATP受容体とは異なった薬理学的性質を示すこと, 2)βγメチレンATPとADPβSに対する受容休は異なっている可能性があることを示している.
ISSN:0015-5691