イヌ虚血心筋エネルギー代謝および糖代謝対するME3255(dl-nobivolol)の作用
ME3255は内皮依存性血管弛緩作用を併せ持つ, 選択的β_1 アドレナリン受容体遮断薬である. 私達は, ME3255の虚血心筋に対する作用を, 麻酔開胸犬のエネルギー代謝及ぴ糖代謝を指標にして, この心筋保護作用がβ遮断作用あるいは, nitric oxideの作用によるものであるのかをnitric oxide synthase inhibitorであるN-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)を用いて調べた. 虚血は, 左冠動脈前下行枝を3分間結紮することによって惹起した. 対照溶媒, あるいは0.03mg/kg, 0.1mg/kg, 0.3mg/kg...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1997, Vol.109 (1), p.67-67 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | ME3255は内皮依存性血管弛緩作用を併せ持つ, 選択的β_1 アドレナリン受容体遮断薬である. 私達は, ME3255の虚血心筋に対する作用を, 麻酔開胸犬のエネルギー代謝及ぴ糖代謝を指標にして, この心筋保護作用がβ遮断作用あるいは, nitric oxideの作用によるものであるのかをnitric oxide synthase inhibitorであるN-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)を用いて調べた. 虚血は, 左冠動脈前下行枝を3分間結紮することによって惹起した. 対照溶媒, あるいは0.03mg/kg, 0.1mg/kg, 0.3mg/kgのME3255を冠動脈結紮10分前に静脈内投与した. 冠動脈を3分間結紮すると, 心筋ATP, フルクトース1,6二燐酸(FDP)含量が有意に減少し, グルコース6燐酸(G6P), フルクトース6燐酸(F6P)および乳酸含量は有意に増加した. ME3255の前処置は, 0.1mg/kg以上の投与量で, 虚血によって起こるATP, G6P, F6Pおよび乳酸含量の変化を有意に抑制した. したがって, 虚血3分後に起こる(〔G6P〕+[F6P])/[FDP]の比の増加, 及び[乳酸]/[ピルビン酸]の比の増加は, いずれの投与量のME3255によっても有意に低下した. さらにL-NAME投与群では, 虚血心筋でのATP含量は, 有意に低下した. ([G6P]+[F6P])/[FDP]の比の増加, 及び[乳酸]/[ピルビン酸]の比の増加は, 低下する傾向が観られた. 結論として, ME3255の前処置は, 虚血によって起こる心筋の嫌気的代謝亢進を縮小し, ME3255が虚血障害から心筋を保護することを示し, この保護効果はME3255もつβ遮断作用のみではなく, l体のもたらすnitric oxideの作用の可能性も考えられた. |
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ISSN: | 0015-5691 |