新規抗潰瘍薬,ラフチジンのラットにおける実験的慢性胃炎モデルに対する作用

慢性胃炎をアンモニア水溶液(0.01%)およびタウロコール酸ナトリウム水溶液(TCA水,5mM)飲水により惹起した.アンモニア水溶液4週間飲水およびタウロコール酸ナトリウム水溶液13週間飲水により,胃底腺領域の粘膜菲薄,壁細胞数減少および幽門腺領域で粘膜菲薄傾向が認められた.ラフチジン3および10mg/kg1日1回1週間経口投与により,アンモニア水飲水およびTCA水飲水モデルの胃底腺領域粘膜菲薄および壁細胞数減少が有意に改善され,幽門腺領域粘膜菲薄も改善される傾向を認めた.また,TCA水飲水モデルでは粘膜固有層に細胞浸潤および粘膜の線維化が認められたが,被験薬投与で改善されなかった.ラフチジン...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1997, Vol.109(1), pp.31-40
Hauptverfasser: 小野寺, 禎良, 田中, 正人, 稲葉, 二朗, 鈴木, 高尾, 柴田, 昌裕, 山浦, 哲明
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性胃炎をアンモニア水溶液(0.01%)およびタウロコール酸ナトリウム水溶液(TCA水,5mM)飲水により惹起した.アンモニア水溶液4週間飲水およびタウロコール酸ナトリウム水溶液13週間飲水により,胃底腺領域の粘膜菲薄,壁細胞数減少および幽門腺領域で粘膜菲薄傾向が認められた.ラフチジン3および10mg/kg1日1回1週間経口投与により,アンモニア水飲水およびTCA水飲水モデルの胃底腺領域粘膜菲薄および壁細胞数減少が有意に改善され,幽門腺領域粘膜菲薄も改善される傾向を認めた.また,TCA水飲水モデルでは粘膜固有層に細胞浸潤および粘膜の線維化が認められたが,被験薬投与で改善されなかった.ラフチジン10mg/kg1日1回1週間経口投与は正常胃粘膜に対して全く影響しなかった,ラフチジン10mg/kgと同等以上に胃酸分泌を抑制する用量のシメチジン30mg/kgおよびファモチジン1mg/kgの経口投与では,両モデルにおいて改善作用は認められなかった.以上の結果から,ラフチジンはシメチジンおよびファモチジンとは異なり,アンモニア水およびTCA水による慢性胃炎モデルに対して回復促進作用を有することが明らかとなった.
ISSN:0015-5691
1347-8397
DOI:10.1254/fpj.109.31