肥満細胞からのヒスタミン遊離に対する過酸化脂質の影響

〔目的〕ラット腹腔肥満細胞にsuperoxide anion(O_2^- )を作用させるとヒスタミン遊離が誘発されるが, その遊離作用に2次的に産生される過酸化水素の関与が少ないことはすでに報告している. 今回は過酸化水素及び活性酸素種によって産生される過酸化脂質のヒスタミン遊離への影響について検討した. 〔方法〕受動感作あるいは非感作のWister系雄性ラット腹腔より細胞懸濁液を採取し, 10^5 cells/mlに希釈した肥満細胞に過酸化水素あるいは過酸化脂質類縁化合物であるt-butylhydroperoxide(TBHP)を前処置した後, 抗原あるいはcompound 48/80(48...

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Hauptverfasser: 西岡絵里, 丹生葉文, 交久瀬善隆, 加納礼子, 福石信之, 赤木正明
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:〔目的〕ラット腹腔肥満細胞にsuperoxide anion(O_2^- )を作用させるとヒスタミン遊離が誘発されるが, その遊離作用に2次的に産生される過酸化水素の関与が少ないことはすでに報告している. 今回は過酸化水素及び活性酸素種によって産生される過酸化脂質のヒスタミン遊離への影響について検討した. 〔方法〕受動感作あるいは非感作のWister系雄性ラット腹腔より細胞懸濁液を採取し, 10^5 cells/mlに希釈した肥満細胞に過酸化水素あるいは過酸化脂質類縁化合物であるt-butylhydroperoxide(TBHP)を前処置した後, 抗原あるいはcompound 48/80(48/80)を作用させ, 遊離したヒスタミン量を蛍光法により定量した. 〔結果および考察〕過酸化水素及びTBHPを15分間前処置すると, 肥満細胞からの抗原抗体反応によるヒスタミン遊離は濃度依存的に抑制された. この抑制効果は48/80刺激によるヒスタミン遊離においても見られた. 過酸化水素を前処置すると, 肥満細胞への48/80による細胞外からのCa^2+ の取り込み増大は有意に抑制され, また, 赤血球の低張溶血も濃度依存的に抑制された. このような過酸化水素による抑制効果は, カタラーゼの共存により完全に消失した. また, 過酸化水素を作用させた肥満細胞膜リン脂質にlysophosphatidylcholineが増大した. 以上の結果よりTBHPは, 過酸化水素と同様にヒスタミン遊離抑制作用を示し, その作用機序の一部に膜安定化作用が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0015-5691