ノルアドレナリンによるラット尾動脈内皮細胞からのプリン物質放出に対するカリウムの影響

ラット尾動脈を用いたこれまでの研究から, ノルアドレナリン(NA)がα_1 受容体を介してATPやアデノシンなどのプリン物質を遊離することを報告してきた. 今回はこの遊離機構の性質を解明するため高カリウムの影響について検討した. 〔方法〕Wistar系雄性ラットの摘出尾動脈を縦方向に切開した後, クレブス液中に懸垂し, 5分間隔で液を交換採取して液中に含まれるNA及びプリン物質をHPLCを用いて測定した. 〔結果及び考察〕(1)NAのプリン物質遊離作用は外液Ca^2+ 除去により消失し, カルシウムポンプ阻害薬であるシクロピアゾン酸によって有意に増強された. (2)高カリウム(40mM)により...

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Hauptverfasser: 川本洋子, 篠塚和正, 中井美和子, 権寧美, 龍田智美, 山口優, 国友勝
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:ラット尾動脈を用いたこれまでの研究から, ノルアドレナリン(NA)がα_1 受容体を介してATPやアデノシンなどのプリン物質を遊離することを報告してきた. 今回はこの遊離機構の性質を解明するため高カリウムの影響について検討した. 〔方法〕Wistar系雄性ラットの摘出尾動脈を縦方向に切開した後, クレブス液中に懸垂し, 5分間隔で液を交換採取して液中に含まれるNA及びプリン物質をHPLCを用いて測定した. 〔結果及び考察〕(1)NAのプリン物質遊離作用は外液Ca^2+ 除去により消失し, カルシウムポンプ阻害薬であるシクロピアゾン酸によって有意に増強された. (2)高カリウム(40mM)により遊離されるNA量は, 37℃に比べて18℃のクレブス液中では著しく低下していた. (3)外因性NAにより遊離されるプリン物質の量は, 37℃に比べて18℃のクレブス液中では有意に増加した. (4)このような18℃での外因性NAのプリン物質遊離作用は高カリウムにより著明に抑制された. 以上の結果より, NAによるプリン物質の遊離は外液Ca^2+ に依存すること, 細胞内のCa^2+ 濃度の上昇に関連することが示唆された. また高カリウムによるプリン物質遊離抑制作用には内皮細胞の脱分極に伴う細胞内へのCa^2+ 流入の抑制が関与している可能性が示唆された.
ISSN:0015-5691