エンドトキシンによるラット血液凝固系の変動

〔目的〕エンドトキシン(ET)を投与した際に活性化をうける血液凝固因子について検討した. 〔方法〕エーテル麻酔下でSD系SPF雄性ラット(300-400g)に, 滅菌生理的食塩水で溶解したET(E.coli. 0128, B8.Difco)を3mg/kg静脈内(IV), あるいは腹腔内(IP)に投与し, 20分, 1時間, 3時間, 5時間, 7時間後頚動脈より採血しプロトロンビン時間(PT), 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT), フィブリノーゲン濃度を測定した. またIV後7時間の血漿に人凝固因子欠損血漿あるいは正常ラット血漿を混和し部分的に置換して, PT, APTT, 高分子...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1996, Vol.108 (4), p.78-78
Hauptverfasser: 山口孝治, 斉藤真希, 荻野三智子, 畑中公, 細井英雄, 杉本勝彦, 馬嶋正隆, 鹿取信
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:〔目的〕エンドトキシン(ET)を投与した際に活性化をうける血液凝固因子について検討した. 〔方法〕エーテル麻酔下でSD系SPF雄性ラット(300-400g)に, 滅菌生理的食塩水で溶解したET(E.coli. 0128, B8.Difco)を3mg/kg静脈内(IV), あるいは腹腔内(IP)に投与し, 20分, 1時間, 3時間, 5時間, 7時間後頚動脈より採血しプロトロンビン時間(PT), 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT), フィブリノーゲン濃度を測定した. またIV後7時間の血漿に人凝固因子欠損血漿あるいは正常ラット血漿を混和し部分的に置換して, PT, APTT, 高分子キニノーゲン, プレカリクレインを測定し各凝固因子の減少を調べた. 〔結果〕1)外因性凝固系の指標のPTは, IP・IV共にET投与後5~7時間で延長が認められた. 内因性凝固系の指標のAPTTは, IP・IV共にET投与後3~7時間で延長が認められた. フィブリノーゲン濃度はIV後3時間で正常ラット血漿の約1/3に減少しその後も低値が持続した. 2)人凝固因子欠損血漿を用てIV後7時間の血漿を部分的に置換すると, VII因子(外因性), XII因子(内因性)欠損血漿によりET投与ラット血漿のPT・APTTは共に正常値に戻った. 3)VIII因子(内因性)欠損血漿ではET投与ラット血漿のPTは正常値に戻ったが・APTTは正常値に戻らず延長が認められた. 4)IV後7時間の血漿では, 高分子キニノーゲン及びプレカリクレインがそれぞれ正常ラット血漿の65%, 80%に減少していた. 〔結語〕ETによるラット血液凝固時間の延長は, 主に内因性凝固系が活性化され最終段階であるフィブリノーゲンが枯渇することにより引き起こされる. 血液凝固因子中, VII因子, XII因子はPT・APTTの延長への関与は少なく, むしろVIII因子の著しい減少がAPTTの延長に関与していた.
ISSN:0015-5691