薬物の有効性および安全性の理論的予測とその対策

本課題の基調講演として, 佐藤哲男は臨床で使用されている薬物について, それらの薬理作用のみを考えると極めて有効性の高いものでも, 副作用との兼ね合いで必ずしもその有用性が高いとは限らないとの面から背景を紹介した. その主な原因は, 患者の個人的バラツキが大きいことや多剤併用による相互作用に起因する. 従来, 漫然と“個人差”として片づけられていた薬効や副作用のバラツキは, 最近10年間の遺伝薬理学の飛躍的進歩により, 科学的根拠に基づいて説明が可能な段階にきている. 事実, 臨床において薬を使用するにあたっては, 遺伝薬理学的情報がかなり取り入れられている. 例えば, 多数の薬物について患者...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1996, Vol.108 (3), p.183-185
Hauptverfasser: 佐藤哲男, 仮家公夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本課題の基調講演として, 佐藤哲男は臨床で使用されている薬物について, それらの薬理作用のみを考えると極めて有効性の高いものでも, 副作用との兼ね合いで必ずしもその有用性が高いとは限らないとの面から背景を紹介した. その主な原因は, 患者の個人的バラツキが大きいことや多剤併用による相互作用に起因する. 従来, 漫然と“個人差”として片づけられていた薬効や副作用のバラツキは, 最近10年間の遺伝薬理学の飛躍的進歩により, 科学的根拠に基づいて説明が可能な段階にきている. 事実, 臨床において薬を使用するにあたっては, 遺伝薬理学的情報がかなり取り入れられている. 例えば, 多数の薬物について患者別の血中濃度モニタリングが普及しており, その成績に基づいて薬物の個人別投与設計が広く実施されている.
ISSN:0015-5691