発生期心臓イオンチャネルの電気薬理学

胎生期のイオンチャネルの変化に関する研究は, 微小電極時代の鶏胚心筋を用いたNicholas Sperelakisグループの一連の研究(1, 2)と, ラット心筋を用いたClaude Bernard(3)の研究を事実上の嚆矢とする. その後, 単離心筋を用いた研究が行われ, より直接的にイオンチャネルの変化が捉えられるようになった(4~6). 胎生早期に存在していても後期には消失してしまうチャネル, 逆に後期に出現してくるチャネル, さらに出生後に出現するチャネルなど複雑である. これらのチャネルは, 心臓の発生・分化に伴って何か機能する目的で現われるわけで, 同時に心筋活動電位にも大きな変化...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1996, Vol.107 (5), p.213-223
Hauptverfasser: 佐藤広康, 佐田英明, 當瀬規嗣, 重信弘毅
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:胎生期のイオンチャネルの変化に関する研究は, 微小電極時代の鶏胚心筋を用いたNicholas Sperelakisグループの一連の研究(1, 2)と, ラット心筋を用いたClaude Bernard(3)の研究を事実上の嚆矢とする. その後, 単離心筋を用いた研究が行われ, より直接的にイオンチャネルの変化が捉えられるようになった(4~6). 胎生早期に存在していても後期には消失してしまうチャネル, 逆に後期に出現してくるチャネル, さらに出生後に出現するチャネルなど複雑である. これらのチャネルは, 心臓の発生・分化に伴って何か機能する目的で現われるわけで, 同時に心筋活動電位にも大きな変化が見られる. また, そのチャネルに対する薬物の反応性にも変化が存在する. ラットでは胎齢14-15日に心房心室分離が起こるが, その時点で心臓の各部位において機能的に大きな変化が生じる(7). 鶏胚心室筋細胞における活動電位の形状変化の基になる各電流の, 発生中での変動の概略を図1に示している.
ISSN:0015-5691