コンフリクト行動に伴うラット海馬からのセロトニン遊離の亢進

薬物の抗不安作用を検討するために多くの不安の動物モデルが立案されているが, 最適なモデルを限定する事は困難である. 我々は抗不安薬の代表的薬物であるベンゾジアゼピン系薬物に特によく反応し, その抗不安効果に最も相関が高いとされているコンフリクト行動に着目した. コンフリクト行動時のセロトニン神経系に関する薬理学的研究は広く行われているが, 行動変化に伴う脳内セロトニン濃度の変動を直接的に検索した報告はなされていない. そこで今回, 不安の脳内機構に関し, その発現に関連する大脳辺縁系諸核に終末を有するモノアミン神経系のうち, 背側海馬におけるセロトニン遊離の変動をマイクロダイアリシス法により定...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1996, Vol.107 (2), p.130-130
Hauptverfasser: 松尾信, 大井久美子, 片岡泰文, 俣木志朗, 加藤有三
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:薬物の抗不安作用を検討するために多くの不安の動物モデルが立案されているが, 最適なモデルを限定する事は困難である. 我々は抗不安薬の代表的薬物であるベンゾジアゼピン系薬物に特によく反応し, その抗不安効果に最も相関が高いとされているコンフリクト行動に着目した. コンフリクト行動時のセロトニン神経系に関する薬理学的研究は広く行われているが, 行動変化に伴う脳内セロトニン濃度の変動を直接的に検索した報告はなされていない. そこで今回, 不安の脳内機構に関し, その発現に関連する大脳辺縁系諸核に終末を有するモノアミン神経系のうち, 背側海馬におけるセロトニン遊離の変動をマイクロダイアリシス法により定量化し, 動物の行動変化と比較検討することにより, 抗不安作用さらには不安の脳機構の基礎的検索を行うことを目的として本実験を行った. 研究にはWistar系雄性ラットを用い, コンフリクト試験としてVogel型のwater-lickコンフリクト試験を採用した. 抱水クロラール麻酔下に透析プローブを片側の背側海馬に挿入し1週間の回復期間ののちコンフリクト試験を行い, ラットのコンフリクト行動時及びミダゾラム投与による抗コンフリクト作用時の細胞間隙セロトニン量をHPLC-ECDにて測定した. コンフリクト条件負荷により背側海馬セロトニン遊離は亢進し, これはミダゾラムによる抗コンフリクト作用により抑制された. これよりコンフリクト試験による不安誘発時のセロトニン神経活性の亢進が示唆された.
ISSN:0015-5691