ラットにおける皮膚循環の薬理学的特性とprostaglandin E_1 製剤の作用について
〔目的〕近年, 慢性動脈閉塞症や糖尿病などに伴う末梢血行障害が問題になっている. 加えて, 高齢化社会を迎えて, 褥瘡などの難治性皮膚潰瘍の治療や症状改善を目的とした末梢循環改善薬に対する社会的要請が高まりつつある. 本研究は, prostaglandin E_1 (PGE_1 )の皮膚血管に対する特異性の有無を検討し, 更にPGE_1 製剤化の有用性を評価することを目的とした. 〔方法〕エーテル軽麻酔下, ラットにtetrodotoxin(TTX)を投与して除神経を施し, N^G -nitro-L-arginine(L-NNA)処置を行ってEDRF/NOの産生を抑制した. TTX投与後直ちに...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1996, Vol.107 (1), p.56-56 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕近年, 慢性動脈閉塞症や糖尿病などに伴う末梢血行障害が問題になっている. 加えて, 高齢化社会を迎えて, 褥瘡などの難治性皮膚潰瘍の治療や症状改善を目的とした末梢循環改善薬に対する社会的要請が高まりつつある. 本研究は, prostaglandin E_1 (PGE_1 )の皮膚血管に対する特異性の有無を検討し, 更にPGE_1 製剤化の有用性を評価することを目的とした. 〔方法〕エーテル軽麻酔下, ラットにtetrodotoxin(TTX)を投与して除神経を施し, N^G -nitro-L-arginine(L-NNA)処置を行ってEDRF/NOの産生を抑制した. TTX投与後直ちに人工呼吸を開始すると共に, ラットの体温を一定に保った. 全身血圧および心拍数をモニターしつつ, レーザードップラー血流計によりラット足底部皮膚血流量を測定した. 対照として舌血流量を測定した. 〔結果〕ウレタン/α-クロラロース麻酔下では, PGE_1 により皮膚血流量の増加は認められなかった. しかし, TTX/L-NNA処置ラットにおいて:1)PGE_1 は皮膚および舌の血流量を著明に増加させたが, 皮膚に対する作用はより低用量から観察された. 2)脂肪粒子内にPGE_1 を封入した製剤(Lipo-PGE_1 )の降圧並びに皮膚血流量増加作用は, PGE_1 およびそのシクロデキストリン包接化合物(PGE_1 -CD)と比較して有意に大きかった. 3)Terbutaline, sodium nitroprussideおよびnicardipineには皮膚血流量増加作用は認められなかった. 〔考察〕皮膚血流は麻酔の影響を強く受けるため, TTX/L-NNA処置は血管拡張薬の皮膚循環に対する作用の評価に有用である. PGE_1 製剤, 特にLipo-PGE_1 は皮膚血流量の特異的増加をもたらした. |
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ISSN: | 0015-5691 |