ラット胸腺細胞におけるムスカリン性アセチルコリン受容体の存在とその発現調節および細胞死への関与

神経系と免疫系の相互作用が数多くの研究により明らかにされつつある. また末梢血Tリンパ球にムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)が存在し, その活性化に関与していることが当教室の研究により明らかにされている. 今回, ラットの胸腺細胞におけるmAChRの存在およびその機能的な役割について検討した. 【実験方法】受容体結合実験:4~6週齢の雄性Sprague-Dawley系ラット(steroid投与群では100mg/kgのhydrocortisoneを皮下投与48時間後)の胸腺から遊離胸腺細胞を調製した. これを最終濃度1.56~100nMの[^^3 H]-QNBとインキュベートしその結...

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Hauptverfasser: 山田武宏, 村山俊彦, 野村靖幸
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:神経系と免疫系の相互作用が数多くの研究により明らかにされつつある. また末梢血Tリンパ球にムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)が存在し, その活性化に関与していることが当教室の研究により明らかにされている. 今回, ラットの胸腺細胞におけるmAChRの存在およびその機能的な役割について検討した. 【実験方法】受容体結合実験:4~6週齢の雄性Sprague-Dawley系ラット(steroid投与群では100mg/kgのhydrocortisoneを皮下投与48時間後)の胸腺から遊離胸腺細胞を調製した. これを最終濃度1.56~100nMの[^^3 H]-QNBとインキュベートしその結合量を測定した. 非特異的結合は100μMatropine存在下での結合量から求めた断片化DNAの検出:胸腺細胞を調製し, 種々の濃度のcarbachol, oxotremorine-M(M1/M3受容体アゴニスト)を加え37℃にて10~30分間インキュベートした. 核酸を抽出後, 3~5μgのDNAを1.5%アガロースゲル上で電気泳動し, そのゲルをethidiumbromideにて染色することによりUV照射下で可視化した. 【結果・考察】胸腺細胞において特異的な[^^3 H]-QNB結合が観察された. 最大結合量は, 我々が以前に報告しているヒトT細胞株Jurkatcellにおけるそれの半分以下であった. hydrocortisoneの投与により, 胸腺に著しい萎縮が見られたが, 細胞あたりの[^^3 H]-QNB結合量は逆に増加した. この発現調節を受けるmACh受容体の薬理学的性質について現在検討中である. また, 胸腺細胞をoxotremorine-M(100μM)やcarbachol(1mM)で刺激すると, アポトーシスの生化学的な特徴とされているDNA断片化が促進されることを見出した. このアポトーシスは, atropine前処理により減弱した. これらの結果より, ムスカリン性受容体が胸腺の生理的機能に深く関与している可能性が考えられ, 今後この細胞死に関わる情報伝達系についてさらに考察を深めていく予定である.
ISSN:0015-5691