ラット腎におけるCl- -ATPaseの性質
我々は, ラット悩の細胞膜分画にエタクリン酸感受性Cl^- -依存性ATPase活性を見出し, この活性が細胞内Cl^- 濃度を低く保つための細胞膜の内から外へCl^- を輸送するCl^- ポンプとして機能することを報告してきた. このCl^- ATPase活性は, 悩以外では腎にのみ見出される. 今回, ラット腎におけるCl^- ATPaseの性質とその局在を検討した. [方法]粗細胞膜分画から, EDTA処理によりCl^- ATPase活性を多く含む膜分画を調製し, 酵素標品とした. Cl^- ATPase活性は, 50mM NaCl/1mMウワバイン/2mM NaN_3 存在下, 0.3...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 我々は, ラット悩の細胞膜分画にエタクリン酸感受性Cl^- -依存性ATPase活性を見出し, この活性が細胞内Cl^- 濃度を低く保つための細胞膜の内から外へCl^- を輸送するCl^- ポンプとして機能することを報告してきた. このCl^- ATPase活性は, 悩以外では腎にのみ見出される. 今回, ラット腎におけるCl^- ATPaseの性質とその局在を検討した. [方法]粗細胞膜分画から, EDTA処理によりCl^- ATPase活性を多く含む膜分画を調製し, 酵素標品とした. Cl^- ATPase活性は, 50mM NaCl/1mMウワバイン/2mM NaN_3 存在下, 0.3mMエタクリン酸に感受性のATPase活性として測定した. 放射線不活性化法による機能的分子量の測定には凍結乾燥した酵素標品を用い, Van de Graaf電子線照射装置により, 1.5MeV, 50μAで照射した. 腎切片を, 成熟ラット悩由来の精製Cl^- -ATPase標品に対する抗体により免疫染色し, Cl^- -ATPaseの局在を調べた. [結果]1)ラット腎のCl^- -ATPase活性は, 皮質>髄質外層>髄質内層の順に認められた. 2)放射線不活性化法により, 腎Cl^- -ATPase機能単位の分子量は約270kDaと推定された. 3)脳Cl^- -ATPase蛋白に対する抗体は, 腎皮質および髄質細胞膜分画のSDS-ポリアクリルアミド電気泳動上, 60kDaペプチドを認識し, 腎Cl^- -ATPase活性を部分的に抑制した. 4)免疫組織化学染色により腎のCl^- -ATPase様免疫活性は, 皮質および髄質の遠位尿細管上皮細胞の基底膜側細胞膜に認められた. [結論]ラット腎のCl^- -ATPaseは, 脳のCl^- -ATPaseと共通の60kDaペプチドを含む, 機能的分子量が約270kDaの蛋白であり, 遠位尿細管上皮細胞の基底膜側細胞膜に局在する. |
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ISSN: | 0015-5691 |