一酸化炭素負荷マウスのアセチルコリン含量に対するdynorphin A(1-13)およびU-50, 488Hの作用
【目的】マウスに一酸化炭素(CO)を負荷すると, 受動的回避学習試験や自発的交替行動法において遅発性の健忘が誘発される. 我々は, κ受容体アゴニストであるdynorphin A(1-13)(Dyn)およびU-50, 488Hがこれら健忘を改善することを明らかにした. また, 第86回日本薬理学会近畿部会において, Dynは, CO負荷マウスの脳内モノアミン代謝に対し正常マウスとは異なった反応性を示すことを報告した. 今回は, CO負荷マウスを用い, 線条体, 前脳皮質および海馬におけるアセチルコリンとその代謝物含量に対するDynおよびU-50, 488Hの影響について検討した. 【方法】実験...
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Zusammenfassung: | 【目的】マウスに一酸化炭素(CO)を負荷すると, 受動的回避学習試験や自発的交替行動法において遅発性の健忘が誘発される. 我々は, κ受容体アゴニストであるdynorphin A(1-13)(Dyn)およびU-50, 488Hがこれら健忘を改善することを明らかにした. また, 第86回日本薬理学会近畿部会において, Dynは, CO負荷マウスの脳内モノアミン代謝に対し正常マウスとは異なった反応性を示すことを報告した. 今回は, CO負荷マウスを用い, 線条体, 前脳皮質および海馬におけるアセチルコリンとその代謝物含量に対するDynおよびU-50, 488Hの影響について検討した. 【方法】実験には7週齢のddY系雄性マウスを用いた. マウスにCOガスを1時間間隔で3回, 正向反射が消失するまで負荷した. COガスの負荷7日後にDyn(0.5, 1.5および5.0nmol/mouse, i.c.v.)またはU-50, 488H(0.21, 0.64および2.15μmol/kg, s.c.)を投与した. それぞれの投与15または25分後にマウスをマイクロウェーブで屠殺し, 脳を取り出した後, 線条体, 前脳皮質および海馬を摘出した.摘出部位をHCIO_4 でホモジナイズ後遠心分離し, 上清を電気化学検出器を備えたHPLCにより分析した. 【結果・考察】いずれの摘出部位においても, controlマウスにDyn0.5, 1.5および5.0nmolを投与すると, アセチルコリン含量が有意に増加した. また, CO負荷マウスにDyn0.5または5.0nmolを投与すると, 前脳皮質および海馬においてアセチルコリン含量が有意に増加した. 一方, U-50, 488Hをcontrolマウスに投与してもDynのようなアセチルコリン含量の増加は認められず, CO負荷マウスにU-50, 488H 0.64μmol/kgを投与すると, 逆に, 線条体および前脳皮質においてアセチルコリン含量が有意に減少した. 以上の結果より, CO負荷によりコリン作動性神経系に対するDynの作用は異なった反応を示したが, U-50, 488Hではこのような変化が認められなかったことから, Dynの作用はκ受容体を介した作用のみでは説明できず, 他の要因も関与している可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |