硫酸マグネシウムの心筋に対する薬理作用

【目的】硫酸マグネシウムは, Torsade de Pointesなどの重症不整脈に有効であり, 急性心筋梗塞の予後改善効果も最近報告されている. 今回, 硫酸マグネシウムの心臓に対する直接作用を3種類のイヌ摘出血液灌流心筋標本を用いて検討し, 他の薬物と比較した. 【方法】洞房結節標本を用いて変時作用, 房室結節標本を用いて変伝導作用, また, 乳頭筋標本を用いて変力作用を検討した. また, 房室結節標本と乳頭筋標本の栄養冠動脈血流量及び乳頭筋基部からの単相性心室筋活動電位を連続記録した. 硫酸マグネシウムは, 各標本の栄養冠動脈よりマイクロシリンジを用いて投与した. 【結果】硫酸マグネシウ...

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Hauptverfasser: 杉山篤, 萩原淳, 薛一雪, 橋本敬太郎
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】硫酸マグネシウムは, Torsade de Pointesなどの重症不整脈に有効であり, 急性心筋梗塞の予後改善効果も最近報告されている. 今回, 硫酸マグネシウムの心臓に対する直接作用を3種類のイヌ摘出血液灌流心筋標本を用いて検討し, 他の薬物と比較した. 【方法】洞房結節標本を用いて変時作用, 房室結節標本を用いて変伝導作用, また, 乳頭筋標本を用いて変力作用を検討した. また, 房室結節標本と乳頭筋標本の栄養冠動脈血流量及び乳頭筋基部からの単相性心室筋活動電位を連続記録した. 硫酸マグネシウムは, 各標本の栄養冠動脈よりマイクロシリンジを用いて投与した. 【結果】硫酸マグネシウムは洞房結節自動能(n=4), 房室結節伝導(n=4), 心室内伝導(n=4), 乳頭筋収縮力(n=4)を抑制し, 冠血流量を増加した(n=8). また, 単相性活動電位持続時間を延長し(n=8), 立ち上がり速度を抑制した(n=8). 自動能を15%, 房室結節伝導時間, 心室内伝導時間, 乳頭筋収縮力および冠血流量をそれぞれ50%変化させる用量は, 16,23,64,20および21mgであった. 30mgの投与で4例中3例に一過性の完全房室伝導ブロックが認められた. 【結論】硫酸マグネシウムは, 洞房結節自動能, 房室結節伝導, 心室筋収縮力を抑制, 冠血流量を増加し, Caチャネル拮抗薬類似の作用を示した. 心室内伝導抑制作用を示したことよりNaチャネル抑制作用, 活動電位持続時間延長作用を示したことよりKチャネル抑制作用も有することが示唆された.
ISSN:0015-5691