一酸化窒素の線条体ドーパミン系に及ぼす影響
脳虚血にともなう種々の神経細胞障害のメカニズムの 1つに一酸化窒素(NO)の関与が考えられている. そこで今回, NO の線条体ドーパミン(DA)系に及ぼす影響について実験的に検討した. (対象および方法) Wistar系雄性ラット(1群 n=6-9)を用い透析プローベを線条体に留置固定し, 48時間後灌流を開始した. DA の基礎放出量が安定した後, 灌流液に N.O.発生物質(sodium nitroprusside, SNP)を溶かし, 40分間灌流した. DA および DOPAC は高速液体クロマトグラフ電気化学検出器(HPLC-ECD)にて測定した. 各種薬物前投与実験は TTX(5...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (2), p.166-166 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 脳虚血にともなう種々の神経細胞障害のメカニズムの 1つに一酸化窒素(NO)の関与が考えられている. そこで今回, NO の線条体ドーパミン(DA)系に及ぼす影響について実験的に検討した. (対象および方法) Wistar系雄性ラット(1群 n=6-9)を用い透析プローベを線条体に留置固定し, 48時間後灌流を開始した. DA の基礎放出量が安定した後, 灌流液に N.O.発生物質(sodium nitroprusside, SNP)を溶かし, 40分間灌流した. DA および DOPAC は高速液体クロマトグラフ電気化学検出器(HPLC-ECD)にて測定した. 各種薬物前投与実験は TTX(5μM), MK801(1μM), Muscimol(50μM)を 120分間前灌流した後上記の実験を開始した. (結果及び考察) SNP の局所灌流は細胞外 DA を有意に増加(10mM で基礎放出量の 6倍)させた. この増加は TTX で 99-100%, MK801 で 80%, Muscimol で 85% と各々の前処置により有意に抑制された. 現在までのところ NO の神経細胞障害作用については glutamate神経系との関係が報告されている. 今回の結果から SNP によって過剰に生産された NO は逆行性神経伝達物質として節前線維ないしは glia内の guanylate cyclase系を活性化させ DA神経の活動に影響を及ぼすことが示唆され, 今回この変化に NMDA受容体または GABAA 受容体の関与が考えられる. |
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ISSN: | 0015-5691 |