ACE阻害薬の咳増強機序にブラジキニンは関与するか
【目的】ACE阻害薬は乾性咳嗽を起こすことが報告され, その機序としてブラジキニン(BK)説, タキキニン説, あるいはプロスタグラディン説などが提唱されている. しかし, これまで直接的な証拠は得られていない. そこで今回, 我々はまず, 正常および気道炎症モルモットを用いて, 臨床での咳発現頻度が高い enalapril と低い imidapril の咳増強作用を比較し, 次いで, 両薬物の下気道求心性迷走神経のカプサイシン(Cap)および BK誘発放電に対する作用を調べた. 【方法】咳:常法に従って行った. ACE阻害薬は単回あるいは 8日間連続で経口投与した. 放電:正常モルモットを用...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (2), p.165-165 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】ACE阻害薬は乾性咳嗽を起こすことが報告され, その機序としてブラジキニン(BK)説, タキキニン説, あるいはプロスタグラディン説などが提唱されている. しかし, これまで直接的な証拠は得られていない. そこで今回, 我々はまず, 正常および気道炎症モルモットを用いて, 臨床での咳発現頻度が高い enalapril と低い imidapril の咳増強作用を比較し, 次いで, 両薬物の下気道求心性迷走神経のカプサイシン(Cap)および BK誘発放電に対する作用を調べた. 【方法】咳:常法に従って行った. ACE阻害薬は単回あるいは 8日間連続で経口投与した. 放電:正常モルモットを用い, 下気道求心性迷走神経からの放電の記録は常法に従った. Cap および BK は気道の近位動脈内に, ACE阻害薬は活性体を静脈内に両薬物の 5分前に投与した. 【結果】咳:Enalapril は正常動物において Cap誘発咳を 10mg/kg の単回投与および 1mg/kg の連続投与で有意に増加させた. また, 気道炎症動物においては Cap だけでなくクエン酸による咳も低用量(<1mg/kg)で増加させたが, 高用量では咳増強作用は消失した. 一方, imidapril は咳増強作用をほとんど示さなかった. Enalapril の増強作用は, BK2 , NK1 および NK2 それぞれの antagonist により有意に抑制された. 放電:BK放電に対して enalaprilat のみが 10nmol/kg で有意に増強させた. 一方, Cap放電に対しては用量依存的に抑制し, この作用は BK2 antagonist により有意にブロックされた. Imidapril は両放電に有意な影響を与えなかった. 【結論】Enalapril は imidapril と異なり, 実験動物においても強い咳増強作用を示し, 臨床報告に相関する成績が得られた. ACE阻害薬による咳の増強には, 一次的には BK が関与していることが示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |