粘液を認識するモノクローナル抗体による気道粘液の研究

【目的】種々の気道炎症性疾患において, 気道粘液の産生・分泌の量的あるいは質的変化は疾患の重篤度と密接な関係を持つ. 我々は気道における粘液の動態を探るために, 気管支炎罹患ハムスターの気道粘液に対するモノクローナル抗体を作製した(第66回薬理学会総会). 本研究ではこのモノクローナル抗体の性質を明らかにし, さらに本抗体を用いた ELISA による気道粘液の定量法について検討した. 【方法】常法に従いモノクローナル抗体4H6 および 2D11 を精製し, 各抗体について酵素標識抗体を作製した. ELISA は直接法により行った. 【結果および考察】免疫組織化学的検討では, 両抗体は正常および...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (2), p.165-165
Hauptverfasser: 木戸朋之, 礒浜洋一郎, 甲斐広文, 高浜和夫, 宮田健, 森安眞津子, 中野菜穂子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】種々の気道炎症性疾患において, 気道粘液の産生・分泌の量的あるいは質的変化は疾患の重篤度と密接な関係を持つ. 我々は気道における粘液の動態を探るために, 気管支炎罹患ハムスターの気道粘液に対するモノクローナル抗体を作製した(第66回薬理学会総会). 本研究ではこのモノクローナル抗体の性質を明らかにし, さらに本抗体を用いた ELISA による気道粘液の定量法について検討した. 【方法】常法に従いモノクローナル抗体4H6 および 2D11 を精製し, 各抗体について酵素標識抗体を作製した. ELISA は直接法により行った. 【結果および考察】免疫組織化学的検討では, 両抗体は正常および気管支炎罹患ハムスターの気管および腸管の粘液と特異的に反応した. ELISA による検討においても, 両抗体はハムスター気道粘液および腸管粘液に対して陽性で, その反応強度は 4H6>2D11 であった. なお, プロテオグリカン類に対しては陰性であった. また, 両抗体のエピトープは糖鎖を含む構造と推測された. この結果は免疫組織化学的検討の結果と一致した. さらに, 両抗体はヒトを含むいくつかの種属に交差性を示し, 特にヒトの気道粘液に対する反応強度はハムスターの気道粘液に対するそれの十倍以上であった. また, ELISA による検量線は精製気道粘液 0.05~2.5μg において良好な直線性(相関係数 0.99以上)を示した. 以上, 本抗体を用いた ELISA はヒトを含む複数の種に応用可能な気道粘液定量法として有用であると考えられる.
ISSN:0015-5691