肝炎自然発症LECラット肝カルボキシルエステラーゼの精製と制御機構の特異性
【目的】演者らは, これまで哺乳動物肝ミクロゾーム画分より薬物や毒物の代謝活性化機構に重要な役割を果たしているカルボキシルエステラーゼ(CEase)を精製し諸性質について詳細に検討してきた. 今回, 新たに肝炎自然発症モデルであるLECラット肝より2種のCEaseアイソザイム(RHIec, RLIec)の精製に成功し, 諸性質について検討するとともに, 発育段階や肝炎発症時における含量の変化およびLECラットにおけるCEaseアイソザイムの特異的発現に関して詳細に検討した. 【方法】動物は, LECラットの他, 対照としてLEA, SDおよびF344系ラットを用いた. 酵素の精製は, 肝ミクロ...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (1), p.86-86 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】演者らは, これまで哺乳動物肝ミクロゾーム画分より薬物や毒物の代謝活性化機構に重要な役割を果たしているカルボキシルエステラーゼ(CEase)を精製し諸性質について詳細に検討してきた. 今回, 新たに肝炎自然発症モデルであるLECラット肝より2種のCEaseアイソザイム(RHIec, RLIec)の精製に成功し, 諸性質について検討するとともに, 発育段階や肝炎発症時における含量の変化およびLECラットにおけるCEaseアイソザイムの特異的発現に関して詳細に検討した. 【方法】動物は, LECラットの他, 対照としてLEA, SDおよびF344系ラットを用いた. 酵素の精製は, 肝ミクロゾーム画分をコール酸で可溶化後, Sephadex G-150ゲル濾過, DE-52イオン交換, クロマトフォーカシングおよびHypatite Cを用いて行った. また, CEaseの定量はWestern blot法により行なった. 【結果・考察】LEC, LEAラットについて血中GOT, GPT活性を調べたところ, 5週齢から14週齢までは大きな差異は認められなかったが, 16週齢以降LECラットにおいて両酵素活性の著しい上昇が認められ, 肝炎を発症している可能性が示唆された. また, CEaseのアイソザイムパターンをPAGE-Esterase活性染色法により比較したところ, LECラットにおいて他の系統では検出されない新規アイソザイムの存在が示された. さらに, 常在型のアイソザイムについてもLECラットとSDラットでは移動度に差異が認められた. そこで, 他の系統のラットと差異を示す2種のCEaseアイソザイム(RLIec, RHIec)の精製を行ない特性を調べた. その結果, 新規アイソサイムRLIecはSD系ラットにおいてペルオキシゾーム増殖剤により新たに発現するCEaseRL4と, 物理化学的特性において高い相同性を示し, SD系では誘導型のアイソザイムがLECラットでは常在型として存在していることが明らかとなった. また, RHIecについてはRH1とN-末アミノ酸配列を含めて高い相同性を示した. さらに, これら2種のCEaseについて, 発育段階や肝炎発症時における変動を調べたところ著しい差異が認められ, 制御機構が互いに異なる可能性が示された. 特に, RHIecは肝炎発症時に著しい減少が認められるのに対しRLIecの発現量は, 肝炎発症直前の14週齢で最大となり, 肝炎発症時においても減少がみられないことから, RLIecの発現と肝炎発症との間には共通の機構が存在する可能性が示され, 肝炎発症のマーカーとしての有用性が期待される. |
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ISSN: | 0015-5691 |