高血圧自然発症ラットの心肥大におけるTGF-βの役割
高血圧自然発症ラットでは圧負荷により心肥大が起こり, コラーゲンの過剰産生が起こる. この圧負荷状態ではアンギオテンシンIIが心筋芽細胞を刺激し, 直接あるいはTGF-βの遊離を介してコラーゲンの合成増加がおこり, 心拡張機能低下を引き起こすといわれている. そこで, 我々はTGF-βの産生および遊離を抑制するトラニラストを使用し, 心臓内のコラーゲン過剰産生を抑制することが拡張機能へどのような影響をもたらすか検討した. 高血圧自然発症ラット(24週令)にトラニラスト(300mg/kg)を1日1回, 4週間経口投与し, また, vehicleを4週間投与した群を対照群とした. 処置後, 麻酔下...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (1), p.79-79 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 高血圧自然発症ラットでは圧負荷により心肥大が起こり, コラーゲンの過剰産生が起こる. この圧負荷状態ではアンギオテンシンIIが心筋芽細胞を刺激し, 直接あるいはTGF-βの遊離を介してコラーゲンの合成増加がおこり, 心拡張機能低下を引き起こすといわれている. そこで, 我々はTGF-βの産生および遊離を抑制するトラニラストを使用し, 心臓内のコラーゲン過剰産生を抑制することが拡張機能へどのような影響をもたらすか検討した. 高血圧自然発症ラット(24週令)にトラニラスト(300mg/kg)を1日1回, 4週間経口投与し, また, vehicleを4週間投与した群を対照群とした. 処置後, 麻酔下に大動脈の血圧, 脈拍, 左心室内圧, dp/dt, 心拍出量を測定した. 測定後に心臓を摘出し, 圧容量曲線を作成した. その後左心室および右心室重量を測定し, またコラーゲン量をヒドロキシプロリン量として測定した. トラニラストは血圧, 脈拍, 左心室内圧, dp/dt, 心拍出量には影響を与えなかった. 左心室及び右心室重量はトラニラスト処置により有意に低下した. トラニラストは圧容量曲線の傾きを緩徐にし, 左心室の伸展能を改善した. トラニラストは左心室及び右心室のコラーゲン量を有意に低下させた. TGF-βの産生および遊離を抑制するトラニラストは高血圧自然発症ラットの心臓内コラーゲンの過剰産生を抑制し, 拡張機能を改善した. コラーゲンの過剰産生は拡張機能を増悪させる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0015-5691 |