ラット海馬からの[3 H]ノルアドレナリン放出

一酸化窒素(NO)は, 血管内皮細胞由来の血管平滑筋弛緩因子(EDRF)として同定されて以来, シナプス伝達をはじめ種々の生理機能に関与することが示されている. 我々は, NO donorであるSNP(sodium nitroprusside), SNAP(S-nitroso-N-acetylpenicill amine)が, SH基を有するDTT(dithiothrethol), L-Cys(L-cysteine)共存下で, ラット海馬スライスより[3 H]ノルアドレナリン([3 H]NA)放出を促進することを見い出した. (実験方法)Wistar系雄性ラット(6~9週齢)の海馬を摘出し,...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (1), p.60-60
Hauptverfasser: 佐藤壮一, 村山俊彦, 野村靖幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:一酸化窒素(NO)は, 血管内皮細胞由来の血管平滑筋弛緩因子(EDRF)として同定されて以来, シナプス伝達をはじめ種々の生理機能に関与することが示されている. 我々は, NO donorであるSNP(sodium nitroprusside), SNAP(S-nitroso-N-acetylpenicill amine)が, SH基を有するDTT(dithiothrethol), L-Cys(L-cysteine)共存下で, ラット海馬スライスより[3 H]ノルアドレナリン([3 H]NA)放出を促進することを見い出した. (実験方法)Wistar系雄性ラット(6~9週齢)の海馬を摘出し, 細断後, メッシュ(300μm)で濾過し, スライス標本を作製した. この海馬スライスに5ml Tyrode-hepes buffer(pH7.4)中で37℃,20minインキュベートし, [3 H]NAを取り込ませた. 洗浄後, 薬物とともに37℃, 8minインキュベート後, 500μlの5mM EDTAおよび5mM EGTAを含む氷冷bufferを加えて反応を止め, 遠心分離し上清に存在する[3 H]NAの放射活性を測定した. (結果および結論)1)SNPは, 単独では無効であったが, DTT, L-Cysを共存させると[3 H]NA放出を促進した. SNPのED50 値は, 約0.5mMであった. 2) SNAPも単独では無効であったが, DTTやL-Cysを共存させると, [3 H]NA放出を促進した. 0.5mM L-Cys共存下でのSNAPのED50 値は約0.3mM, 1mM SNAP共存下でのL-CysのED50 値は約0.2mMであった. 3)DTTおよびL-Cysは単独では無効であった. 4)脱分極刺激(20~50mM KCl)による[3 H]NA放出には細胞外Ca2+ が必須であったが, SNPやSNAPによる放出はCa2+ に依存しなかった. 5)SNPやSNAPにより, 乳酸脱水素酵素(LDH)の放出は認められなかった. 以上の結果より, NOはシナプス膜を破壊することなくDTT, L-CysといったSH化合物と共役して, Ca2+ 非依存的にNA releaseを引き起こすと示唆された.
ISSN:0015-5691