CCK-8s誘発性モルヒネ鎮痛減弱作用に関与するCCK受容体サブタイプについて

近年, CCK受容体のサブタイプ(CCK-AおよびCCK-B受容体)が見出だされて以来, CCKの生理機能について多種多岐にわたって検討が行なわれている. CCKの痛覚に与える影響については, 内因性疼痛制御物質として機能しているとする説や, 逆に内因性オピオイド拮抗因子としての生理機能を有するとする説等が報告されている. そこで本実験では, CCK-8sのモルヒネ鎮痛減弱作用の発現機構を解明するために, 選択的なCCK受容体拮抗薬を用いてCCK-8sの効果がどの受容体サブタイプを介して発現するのかを検討した. 【実験方法】実験には, 体重250-300gのSD系雄性ラットを使用し, 痛覚閾値...

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Veröffentlicht in:日本薬理学雑誌 1995, Vol.105 (1), p.58-58
Hauptverfasser: 川村俊介, 渡辺千寿子, 米沢章彦, 安藤隆一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年, CCK受容体のサブタイプ(CCK-AおよびCCK-B受容体)が見出だされて以来, CCKの生理機能について多種多岐にわたって検討が行なわれている. CCKの痛覚に与える影響については, 内因性疼痛制御物質として機能しているとする説や, 逆に内因性オピオイド拮抗因子としての生理機能を有するとする説等が報告されている. そこで本実験では, CCK-8sのモルヒネ鎮痛減弱作用の発現機構を解明するために, 選択的なCCK受容体拮抗薬を用いてCCK-8sの効果がどの受容体サブタイプを介して発現するのかを検討した. 【実験方法】実験には, 体重250-300gのSD系雄性ラットを使用し, 痛覚閾値の測定はtail-flick法を用いて行なった. ラット尾部の損傷を防ぐために, 輻射熱照射は最大時間を10秒とした. CCK-8sは, モルヒネ(8mg/kg, i.p.)投与の10分前に前処理を行なった. CCK-A受容体の選択的拮抗薬としてdevazepide(L-364,718)およびL-365,031を, またCCK-B受容体の選択的拮抗薬としてL-365,260を用いた. これらの拮抗薬は0.5%CMC溶液に溶解後, CCK-8s処理30分前に腹腔内投与を行なった. 【結果および考察】CCK-8s(1-30μg/kg, i.p.)前処理は, morphine(8mg/kg, i.p.)の鎮痛効果を約40-60%有意に抑制する. この効果に対してCCK-A受容体の選択的拮抗薬であるdevazepide(0.3, 1.0および3.0μg/kg, i.p.)を前処理することにより, CCK-8sのモルヒネ鎮痛減弱作用に対して有意な拮抗作用を示した. しかし, さらに高用量の前処理(10および30μg/kg, i.p.)はCCK-8sの効果に対して有意な影響を与えなかった. devazepideと同様のCCK-A受容体選択的拮抗薬であるL-365,031もまたCCK-8sの効果を有意に減弱した. 一方, CCK-B受容体の選択的拮抗薬であるL-365, 260は, 30, 100および300μg/kgの前処理によりCCK-8sの効果に対して有意な影響を与えなかった. 以上の結果から, CCK-8sのモルヒネ鎮痛減弱作用はCCK-A受容体サブタイプを介して発現することが示唆された.
ISSN:0015-5691