内皮は加齢にともなうArginine-弛緩の減弱を抑制する

私達はendotoxin刺激により平滑筋で発現するinducible NO synthaseを介してL-arginine(Arg)がラット胸部大動脈を弛緩させることを明らかにしており, さらにこの弛緩作用が加齢によって減弱することを第79回日本薬理学会近畿部会にて報告した. この現象は平滑筋におけるNO産生能が加齢により低下したためと推測しているが, このとき内皮細胞がどのような役割を果たしているのかは明らかではない. そこで今回内皮を除去していない血管を用い, 加齢によるArg-弛緩の減弱に対する内皮の役割を検討した. 1.内皮を除去した血管でのArg-弛緩は週齢の増加に伴って減弱した. 一...

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Hauptverfasser: 武内正吾, 筒井貴子, 堀尾修平, 久山哲廣, 守時英喜
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:私達はendotoxin刺激により平滑筋で発現するinducible NO synthaseを介してL-arginine(Arg)がラット胸部大動脈を弛緩させることを明らかにしており, さらにこの弛緩作用が加齢によって減弱することを第79回日本薬理学会近畿部会にて報告した. この現象は平滑筋におけるNO産生能が加齢により低下したためと推測しているが, このとき内皮細胞がどのような役割を果たしているのかは明らかではない. そこで今回内皮を除去していない血管を用い, 加齢によるArg-弛緩の減弱に対する内皮の役割を検討した. 1.内皮を除去した血管でのArg-弛緩は週齢の増加に伴って減弱した. 一方, 内皮付き血管では加齢に伴うArg-弛緩の減弱は認められなかった. 2.ArgによるcGMP産生量の増大も,内皮を除去した血管では加齢に伴って減少したのに対し,内皮付き血管では加齢による影讐を受けていなかった. 3.若齢ラットから摘出した血管ではArgに対する感受性獲得後(血管摘出8~10時間後)内皮を除去しても,Arg-弛緩は影響を受けなかった. 一方,老齢ラットから摘出した血管では内皮の除去によりArg-弛緩は減弱し,内皮を摘出直後に除去した血管で発現したArg-弛緩と同程度になった. 以上,内皮は加齢に伴うArg-弛緩の減弱を防止した.これは老齢ラットの血管において内皮依存性のArg-弛緩が発現したためと考えられる.すなわちendotoxin刺激により内皮においてもNOsynthaseが誘導されていること,さらに加齢により促進されていることを示唆している.
ISSN:0015-5691