プロトンポンプ阻害薬の心臓作用

われわれは第67回薬理学会年会(s2,p287,288)においてH^+ -Na^+ 阻害薬の心筋保護効果について報告した. 今回はH^+ -K^+ 交換阻害薬(Omeprazole:OMP, Lansoprazole:LSP)を用いて, モルモット摘出心臓に対する作用および虚血心筋保護効果を検討した. 【方法】モルモット右心房, 乳頭筋(1Hz駆動)とLangendorff式潅流心臓標本(LN心臓)を用いた. 潅流溶液はKrebs-Henseleit液(KH液Ca^2+ 2.OmM, PH7.4, 37℃)で行った. 4Hz駆動LN心臓にてOMP, LSPの濃度作用曲線を求め, ED_50 値...

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Hauptverfasser: 福嶋俊郎, 堀田芳弘, 矢島道夫, 安藤裕明, 竹谷和視
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:われわれは第67回薬理学会年会(s2,p287,288)においてH^+ -Na^+ 阻害薬の心筋保護効果について報告した. 今回はH^+ -K^+ 交換阻害薬(Omeprazole:OMP, Lansoprazole:LSP)を用いて, モルモット摘出心臓に対する作用および虚血心筋保護効果を検討した. 【方法】モルモット右心房, 乳頭筋(1Hz駆動)とLangendorff式潅流心臓標本(LN心臓)を用いた. 潅流溶液はKrebs-Henseleit液(KH液Ca^2+ 2.OmM, PH7.4, 37℃)で行った. 4Hz駆動LN心臓にてOMP, LSPの濃度作用曲線を求め, ED_50 値を求めた. OMPlO^-4 M(ED_50 値)を用いnormal KH(K^+ 5.9mM)と低KのKH液(K^+ 1.8mM)での左室内圧(LVP)の測定と同時に, Fura-2Caシグナル, P-NMRを測定した. 心筋保護作用はLN心臓にOMP10^-4 M注入後, 潅流液を45分間停止し, 30分間再潅流し虚血前と再潅流後のLVPを比較した. 【結果と考察】(1)OMP, LSPは濃度依存的に陰性変力, 陰性変周期作用を示した. (2)ED_50 はOMP, LSPいずれも4.3±0.2であった. (3)OMP10^-4 M投与によりLVPはcontrolの80.5%に減少した. 同時に測定したFura-2Caシグナルのトランジェントの大きさもcontrolに比べ62.5%に減少した. また, 拡張期に対するFura-2 Caレベルは4%減少した. この減少はKH溶液の再潅流により可逆的に回復した. 低K液中ではOMP10^-4 M投与によるLVPの減少は増強された. (4)虚血心筋のLVP回復率は対照例は58.9%であるのに対し, OMP10^-4 M投与例では80.1%であり虚血後のLVP回復作用が認められた. 以上の結果より, H^+ -K^+ 交換阻害薬は虚血心筋においてH^+ -Na^+ 交換阻害薬と同様に抗虚血作用を示し, 虚血中のH^+ には心筋保護作用があるものと結論づけられた.
ISSN:0015-5691