ラット脳および腎臓におけるCl- ポンプ

中枢神経細胞は, 細胞内Cl^- 濃度を受動分布から予想される値より低く保つことによって, GABAによる抑制性シナプス伝達を可能にしている. 我々は, ラット脳の細胞膜分画に, ATP依存性Cl^- 取り込み活性およびCl^- -ATPase活性を見いだし, これらの活性がCl^- を細胞の内から外へ輸送する, Cl^- ポンプに由来することを明らかにしてきた. このCl^- -ATPase活性は, 脳の他に腎にも見いだされている. 今回は, 脳および腎のCl^- ポンプの性質と組織化学的局在を比較検討した. [方法]脳および腎の細胞膜分画を界面活性剤で可溶化後リン脂質膜小胞に再構成し, A...

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Hauptverfasser: 曽訓庭, 東田敏明, 三上斗支子, 原満良, 稲垣千代子
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:中枢神経細胞は, 細胞内Cl^- 濃度を受動分布から予想される値より低く保つことによって, GABAによる抑制性シナプス伝達を可能にしている. 我々は, ラット脳の細胞膜分画に, ATP依存性Cl^- 取り込み活性およびCl^- -ATPase活性を見いだし, これらの活性がCl^- を細胞の内から外へ輸送する, Cl^- ポンプに由来することを明らかにしてきた. このCl^- -ATPase活性は, 脳の他に腎にも見いだされている. 今回は, 脳および腎のCl^- ポンプの性質と組織化学的局在を比較検討した. [方法]脳および腎の細胞膜分画を界面活性剤で可溶化後リン脂質膜小胞に再構成し, ATP依存性^^36 Cl^- 取り込み活性を測定した. 脳由来Cl^- ポンプ蛋白標品に対する抗体を作成し, ウェスタンブロットおよび組織切片の免疫染色に用いた. [結果]1)脳および腎のATP依存性Cl^- 取り込み活性は, 再構成膜脂質にリン酸化イノシトールリン脂質を添加することにより約1.5倍に増大した. 2)抗Cl^- ポンプ抗体は, 大脳, 小脳, 腎皮質および腎髄質由来の60kDaのポリペプチドに結合したが, 心臓, 肺, 小腸粘膜, 胃粘膜, 肝臓, 膀胱, 副腎および脾臓の蛋白には, ほとんど結合しなかった. 3)免疫組織染色では, Cl^- ポンプ様免疫活性は, 海馬錐体細胞, 小脳プルキンエ細胞などの神経細胞の細胞膜, および, 腎尿細管上皮細胞の基底膜側細胞膜に認められた. [結論]以上の結果は, Cl^-ポンプが, Cl^- 輸送活性の見られる神経細胞および腎尿細管上皮細胞の細胞膜に局在することを示唆する.
ISSN:0015-5691