ラット培養グリア細胞におけるparathyroid hormone(PTH)受容体の発現

Parathyroid hormone(PTH)は腎臓や骨などの標的細胞の細胞膜上に存在する特異的な受容体を介して, 血漿Ca^2+ 濃度の恒常性の維持に関与するペプチドホルモンとしてよく知られている. PTHは脳脊髄液中にも存在し, また血液脳関門を通過することからその中枢における作用が予想されるとともに, 脳におけるPTH受容体の存在の可能性が示唆されてきた. 我々は, 先にクローニングしたvasoactive intestinal polypeptide(VIP)受容体cDNAとのクロスハイブリダイゼーションにより, ラット大脳皮質と培養グリア細胞のcDNAライブラリーからpituita...

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Hauptverfasser: 小川暢也, 橋本均, 相野博司, 馬場明道, 長田重一
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:Parathyroid hormone(PTH)は腎臓や骨などの標的細胞の細胞膜上に存在する特異的な受容体を介して, 血漿Ca^2+ 濃度の恒常性の維持に関与するペプチドホルモンとしてよく知られている. PTHは脳脊髄液中にも存在し, また血液脳関門を通過することからその中枢における作用が予想されるとともに, 脳におけるPTH受容体の存在の可能性が示唆されてきた. 我々は, 先にクローニングしたvasoactive intestinal polypeptide(VIP)受容体cDNAとのクロスハイブリダイゼーションにより, ラット大脳皮質と培養グリア細胞のcDNAライブラリーからpituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)受容体のcDNAをクローニングしたが, この際にラット骨のものと同一のPTH受容体のcDNAも得られた. このcDNAをプローブとしたNorthern blot解析により, 約2.5kbのPTH受容体のmRNAがラット大脳皮質と培養グリア細胞に発現していることが分かった. また, PTHは細胞内cAMP産生とPI代謝回転を亢進することが知られているが, 培養グリア細胞においては, 細胞内cAMP量を濃度及び時間依存的に上昇させたが, PI代謝回転は促進しなかった. さらに, PTHは培養グリア細胞の形態変化(突起伸展)を起こした. 以上の結果より, 脳にPTH受容体が発現しており,その一次構造は腎臓や骨の受容体と同一であること,また培養グリア細胞においてはPTH受容体は, 細胞内cAMP産生系のみと会合することが明らかとなった.
ISSN:0015-5691