血中モルヒネ濃度に及ぼすジルチアゼムの影響

モルヒネ(Mor)慢性処置後休薬による禁断症状の発現が, L型Ca拮抗薬;ジルチアゼム(DTZ)によって抑制されることを報告した(第84日本薬理学会近畿部会). その後, 血中Mor濃度がDTZ処置後高値を示すことが明らかとなったので, 今回血中Mor動態に及ぼすDTZの影響について検討した. 体重250~300gのSD系雄性ラットを使用した. Mor(10mg/kg, i.v.)投与10, 30, 60, 90, 120, 150, 180および240分後に採血した. DTZ(40または80mg/kg, s.c.)は, Mor投与30分前の1回処置または, 18, 12および6時間前ならびに...

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Hauptverfasser: 岸岡史郎, 西田茂, 福永優子, 山本博之
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:モルヒネ(Mor)慢性処置後休薬による禁断症状の発現が, L型Ca拮抗薬;ジルチアゼム(DTZ)によって抑制されることを報告した(第84日本薬理学会近畿部会). その後, 血中Mor濃度がDTZ処置後高値を示すことが明らかとなったので, 今回血中Mor動態に及ぼすDTZの影響について検討した. 体重250~300gのSD系雄性ラットを使用した. Mor(10mg/kg, i.v.)投与10, 30, 60, 90, 120, 150, 180および240分後に採血した. DTZ(40または80mg/kg, s.c.)は, Mor投与30分前の1回処置または, 18, 12および6時間前ならびに30分前の4回処置とした. 最終採血直後, 脳を摘出し, 分割した. Morの定量は, HPLC-ECD法に従った. Mor血中動態の指標は, モーメント解析法に従って算出した. DTZ40および80mg/kg処置群の血中Mor濃度は, 単回処置ではそれぞれMor投与10~90および1O~240分後, 反復処置では10~120および10~60分後において, コントロール群のそれよりも高値を示した. AUCは, DTZ単回および40mg/kg反復処置により有意に増加した. MRTは, DTZ80mg/kg単回処置でのみ延長したが, CLおよびVssは, DTZ単回および反復処置により低下した. Mor投与240分後, DTZ処置群の血中および脳内Mor濃度は高い傾向にあったが, 血中および脳内のMor濃度比に対するDTZの影響は認められなかった. 以上の結果より, DTZは, 1)Morの消失速度には影響しないが, 分布容積を減少させることにより, Morの血中濃度を高くすること, 2)Morの脳内移行には影響しないことが明らかとなった. すなわち, DTZのMor禁断抑制作用には, 高い血中Mor濃度の維持が関与する可能性が示唆された.
ISSN:0015-5691