脳虚血後の海馬錐体細胞死及び学習行動障害に対する内因性bFGFの効果
塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)は, 間葉系組織のみならず神経組織にも多量に含まれ, 神経突起伸長作用及び神経細胞生存因子として作用することが知られている. 一方, 血小板第4因子(PF4)はbFGFの受容体結合を阻害することによりbFGFの生理作用を抑制することが培養系で確認されている. 今回我々は, 一過性脳虚血後の神経細胞死及び学習能力低下を指標にPF4と内因性bFGFの相互作用を中心に検討した. bFGFあるいはPF4はアルザミニ浸透圧ポンプ(1μm/hr)を用い, 3分間前脳虚血又は偽手術スナネズミの側脳室内に持続注入した. その後, ステップダウン型受動回避装置を用いて学習能力...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.104 (4), p.94-94 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)は, 間葉系組織のみならず神経組織にも多量に含まれ, 神経突起伸長作用及び神経細胞生存因子として作用することが知られている. 一方, 血小板第4因子(PF4)はbFGFの受容体結合を阻害することによりbFGFの生理作用を抑制することが培養系で確認されている. 今回我々は, 一過性脳虚血後の神経細胞死及び学習能力低下を指標にPF4と内因性bFGFの相互作用を中心に検討した. bFGFあるいはPF4はアルザミニ浸透圧ポンプ(1μm/hr)を用い, 3分間前脳虚血又は偽手術スナネズミの側脳室内に持続注入した. その後, ステップダウン型受動回避装置を用いて学習能力を測定したのち, 海馬CA1領域の神経細胞数を計測した. (1)3分間前脳虚血のみでは学習能力の低下およびCA1錐体細胞数の減少は軽微であったが, 3日以内にPF4注入を開始すると用量依存的に有意な学習能力の低下とCA1錐体細胞数の減少が認められた. 虚血負荷がかからないスナネズミにPF4を注入しても, 学習能力, CA1体細胞数に有意な変化は認められなかった. (2)bFGFの脳室内単独注入では有意な効果は認められなかったが, ヘパリンとbFGFを脳室内に持続注入すると, 虚血後の学習能力障害及びCA1錐体細胞死が軽減された. ヘパリン化bFGFの前投与により, PF4による虚血神経細胞の障害効果もほぼ消失した. 以上の結果から, (1)外来性bFGFが虚血性神経細胞死を防御するためにはヘパリンが必要であること, (2)内因性bFGFは虚血直後の神経細胞保護に重要な役割を担うことが明らかとなった. |
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ISSN: | 0015-5691 |