糖尿病マウスにおけるホルマリン誘発侵害刺激に対する各種薬物の作用比較

【目的】Morphineの鎮痛作用は内在性のドパミンを介する部分とセロトニンを介する部分が考えられている. 一方, インスリン依存型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン(STZ)糖尿動物においてMorphineの作用が減弱されることも知られている. そこで我々はSTZ糖尿マウス及びインスリン非依存型糖尿病モデルであるdb/dbマウスを用い, Morphineのホルマリン誘発侵害刺激に対する作用について検討し, これをドパミン系及びセロトニン系を介する薬物の作用と比較した. 【方法】実験には5週齢のddYマウスにSTZ200mg/kgを腹腔内投与し2週間後及び10週齢のdb/dbマウスを用いた....

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Hauptverfasser: 竹下暢昭, 大久保佳孝, 山口勇
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】Morphineの鎮痛作用は内在性のドパミンを介する部分とセロトニンを介する部分が考えられている. 一方, インスリン依存型糖尿病モデルであるストレプトゾトシン(STZ)糖尿動物においてMorphineの作用が減弱されることも知られている. そこで我々はSTZ糖尿マウス及びインスリン非依存型糖尿病モデルであるdb/dbマウスを用い, Morphineのホルマリン誘発侵害刺激に対する作用について検討し, これをドパミン系及びセロトニン系を介する薬物の作用と比較した. 【方法】実験には5週齢のddYマウスにSTZ200mg/kgを腹腔内投与し2週間後及び10週齢のdb/dbマウスを用いた. 薬物を経口投与1時間後に1%ホルムアルデヒド溶液10mlをマウスの足蹠に皮下注射し, その後のホルマリン注入足を嘗めたり噛んだりした時間を計測した. 0-10分間および10-30分間に観察される反応時間をそれぞれ第一相, 第二相とし, 持続痛を反映するとされる第二相について作用を比較した. 【結果】Morphineのホルマリン誘発侵害刺激反応に対する作用はSTZ糖尿マウスにおいては正常マウスと比較して減弱されたが, db/dbマウスにおいては減弱されなかった. ドパミン系を介する鎮痛物質FR64822は正常マウスに比較し, STZ糖尿及びdb/dbマウスの両者において減弱された. 一方, 現在臨床で用いられ, セロトニン系を介することが知られているAmitriptylineやCarbamazepineはSTZ糖尿マウスでは正常マウスと同様の鎮痛効果を示し, db/dbマウスにおいてはむしろその作用は若干増強された. 【考察】ドパミン及びセロトニンを介する鎮痛メカニズムはインスリン依存型糖尿病(STZ糖尿)とインスリン非依存型糖尿病(db/db)によって異なった影響を受けており, これがモルヒネの効力差の原因となっていることが示唆された.
ISSN:0015-5691