薬物脳内注入の技法
薬物の中枢作用を行動薬理学的に検討する研究において, 薬物を直接脳内の所定の部位に注入する脳内注入法が広く用いられており, この方法により多くの知見がもたらされている. 一方薬物の中枢作用をさらに詳細に検討するには行動に対する効果に加え, 薬物注入部位での神経伝達物質の遊離や代謝に対する効果などについて神経化学的に検討する必要性が生じてきている. 近年, 脳内マイクロダイアリシス法が神経化学の研究領域に導入され, 以来プローブを初めとする器具の改良ならびに実験条件に関する検討がたゆまず行われてきた(1). この方法を用いて数々の新しい知見がもたらされており(1), 行動薬理学的研究への応用面で...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.104(1), pp.1-5 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 薬物の中枢作用を行動薬理学的に検討する研究において, 薬物を直接脳内の所定の部位に注入する脳内注入法が広く用いられており, この方法により多くの知見がもたらされている. 一方薬物の中枢作用をさらに詳細に検討するには行動に対する効果に加え, 薬物注入部位での神経伝達物質の遊離や代謝に対する効果などについて神経化学的に検討する必要性が生じてきている. 近年, 脳内マイクロダイアリシス法が神経化学の研究領域に導入され, 以来プローブを初めとする器具の改良ならびに実験条件に関する検討がたゆまず行われてきた(1). この方法を用いて数々の新しい知見がもたらされており(1), 行動薬理学的研究への応用面でも期待が高まっている. マイクロダイアリシス法において薬物を透析膜近傍に作用させるための局所投与法としては, 灌流液中に薬物を溶解し, 透析膜を介した逆透析による方法が一般に用いられている. しかし, この方法では薬物は徐々に組織に拡散していくので, 脳内注入法による薬物の投与とは投与条件が異なっており, 投与量も一致しないという問題点がある. 著者らは直接薬物を脳内注入することのできる「マイクロインジェクションチューブ付き直管型透析プローブ(MI-プローブ)」を利用することによってこれらの問題点を解決し, 薬物を脳内注入した際の注入局所近傍におけるドパミンならびにその代謝産物の変化について検討を加えてきた(3). そこで, 本稿ではまず著者らが行動薬理学的研究に従来用いているガイドカニューレを介した脳内注入法について紹介し, 次に, 薬物注入局所のin vivoでの変化を検討するのに適していると考えられるMI-プローブについて説明する. |
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ISSN: | 0015-5691 1347-8397 |
DOI: | 10.1254/fpj.104.1 |