培養気道上皮細胞からの粘液分泌に対する tachykinin の作用
【目的】気道炎症時に粘液分泌が亢進することはよく知られている. 近年, 神経原性気道炎症における tachykinin の関与が注目され, 強い平滑筋収縮作用, 咳嗽誘発作用, 好中球活性化作用などが明らかにされつつある. 今回, 我々は, 気道炎症に伴う粘液分泌亢進の機構を追究するために, 先に考案した培養気道上皮細胞と多形核白血球(PMNs)を共存させた系を用い, 気道粘液分泌に対する tachykinin の作用について検討した. 【方法】雄性 syrian Golden系ハムスター(6週齢)から既報の方法により気道上皮細胞を単離した. 細胞は, 10%牛胎仔血清を含む F-12培地を用...
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Veröffentlicht in: | 日本薬理学雑誌 1994, Vol.103 (2), p.133-133 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】気道炎症時に粘液分泌が亢進することはよく知られている. 近年, 神経原性気道炎症における tachykinin の関与が注目され, 強い平滑筋収縮作用, 咳嗽誘発作用, 好中球活性化作用などが明らかにされつつある. 今回, 我々は, 気道炎症に伴う粘液分泌亢進の機構を追究するために, 先に考案した培養気道上皮細胞と多形核白血球(PMNs)を共存させた系を用い, 気道粘液分泌に対する tachykinin の作用について検討した. 【方法】雄性 syrian Golden系ハムスター(6週齢)から既報の方法により気道上皮細胞を単離した. 細胞は, 10%牛胎仔血清を含む F-12培地を用い, 37℃で培養し, 三代目継代細胞をコラーゲンゲル上に培養することにより粘液分泌細胞に分化させた. 粘液分泌は, 細胞に高分子糖蛋白の先駆物質として[^^14 C]-glucosamine を取り込ませ, 培養上清中に遊離された高分子分画の放射活性により評価した. また, PMNs は Ficoll-Hypaque gradient density法により単離した. 【結果および考察】Substance P は, 本細胞からの粘液分泌に直接的には影響を与えなかった. PMNs(2×10^5 cells/well)の共存下では, substance P(10μM)は粘液分泌をコントロールに対し 174.9±15.2%と有意に促進した. 一方, 過酸化水素および好中球エラスターゼは, PMNs 非存在下でもそれぞれ 0.01-1μM および 0.1-30μg/ml の範囲で用量依存的に粘液分泌を促進した. 以上の結果より, 気道炎症時の粘液過剰分泌の要因のひとつとして tachykinin による好中球活性化を介した機序が示唆された. さらに, 過酸化水素および好中球エラスターゼが炎症時の気道粘液分泌の直接的な要因の一つである可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0015-5691 |